表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫活!!  作者: たびー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/32

冬への扉

二週間ぶりです。

すっかり冬になりました。

 今年の冬は遅いねぇーなんて話していました。例年なら、早ければ十一月頭にちらつく雪も今年は降らず、なんだったら、季節外れの暖かな日が何日もあったりと、おおよそ晩秋らしくありませんでした。

 しかし、暖冬だ、ラニーニャだとか言われても来るものもは来る。

 まだ冬のとば口……なんて家族と話していたら、冬の扉を荒々しく蹴破って、将軍様がやって来ました。

 ええ、冬将軍。

 ある日、なんだか外が明るく白っぽい。摺りガラスの窓越しにも感じる白さ。これ、マズいやつだ。慌ててカーテンを開けると、そこは一面の銀世界。

 ちょっと……除雪車、出ていないのか!! ←そこ!?

 慌てて旦那を起こして、ふだんよりも早めの出勤を促す。そんな冬の始まりでした。


 猫、去年の秋生まれなので、雪は初体験ではないです。なんせ、一月の厳冬期に捨てられて保護された猫です。我が家にやってきてからは、雪の間は外に出しませんでしたが全く覚えていないわけではないでしょう。

 と、思っていたのですが。


 それなりに雪が積もった日でも、やはり猫は散歩をせがみました。わたしも、雪に対して猫がどんな反応をするだろうかと、密かに楽しみにしていました。

 着ぶくれしたわたしと、いつものハーネス付きのリードでいざ外出。


 猫は玄関の扉から、いつもどおりひょいと出ましたが、あまりの寒さに一瞬ひるんだように止まりました。

 それから、不思議そうに雪を眺めました。

 まずは、自宅の軒下を一周。犬走のコンクリートの上を、歩きました。一つ一つ角を曲がるたびに、足が止まります。

 猫にしたら、

「ここは寒いけど、角を曲がったらあったかいんじゃないのかな」

 と、期待しているみたいです。しかし、曲がれど曲がれど、寒さに変わりはありません。不服だったのか、もう一周しました。

 やはり寒いまま。軒下にうずくまり、しばし目の前の白いものを凝視していました。納得いかないけれど、どうやら寒いらしい。じゃあ、あの白いところは何なんだろう。意を決するように立ち上がった猫は積もった雪に足を、足をゆっくりと乗せました。

 すると。


 ぽすん。


 前足が雪に沈んで、小さな穴が出来ました。あわてて足をひっこめた猫は、あらためて自分が空けた穴をちょいちょいとつつきました。

 キョトンとしていましたが、気を取り直して再び雪に足を。


 ぽすん。


 やっぱり前足が沈みます。それに冷たい。引っこ抜いた足を二・三回ぷるぷると振るいました。

 うん、わかった。白いとこは冷たい。黒いところは、だいじょうぶ……じゃなかった! 黒いところ(アスファルト部分)も冷たい!!

 猫ぷちパニックながらも、とりあえず黒いところを歩きました。

 いつもとちがう、いつもとちがう。

 そんな感じで、いつものご近所コースもどこかぎこちなく歩きました。

 重装備しているわたしですが、寒い戸外にいるとさすがに顔が冷たさで痛くなります。

 見ると、猫の鼻もいつもよりピンク色になっています。よくよくみれば、足の肉球もピンク色で鮮やかに。がんばって散歩していた猫も、ついには塀のうえにうずくまってしまいました。

 寒くて動きたくないポーズになったので、すかさず抱っこしました。毛が逆立ってフワフワ。そして後足を掴むと、手袋ごしでも冷たさを感じました。


 猫も冷たいのよね。


 抱っこされて少しは温かくなったのか、喉を鳴らす猫とふたりして家に戻ったのでありました。


「冬よ、ぼくに来い」とか東京在住のときには威勢のよい詩を書いていた高村光太郎ですが、当地の山荘暮らしになった初の冬。人の背丈ほどになる積雪に「雪があまりに深くてボー然とした」詩を書きました。

花巻は雪の多い奥羽山系側なのです。

さて、今シーズンの雪はいかほどか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手 by FC2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ