おはようから、おやすみまで
初雪ふりました。
月がきれいな季節です。
つーか、寒いわ。
猫の朝は早い。
猫飼いの朝もまた。
夏なら三時くらい、冬に向かう現在も五時前後にはクローゼットの扉かドレッサーの鏡部分を「しゃっかしゃっかしゃっか」と爪を出さずに引っかき、起きて欲しい旨をアピールする。
よろよろ起きだしたわたしは、階段を踏み外さぬよう慎重に階下へ降りて、ご飯の有無を確認してからコタツで寝る。
モバイルのタイマーで起きて、わたしはご飯とお弁当を作る。
そのころになると、猫は適当に一人で遊ぶ。お気に入りのおもちゃ→紙を丸めたものや、ちいさなマスコットなど。わたしも料理をしながら、ときどきおもちゃを放り投げる。猛スピードで追いかけてじゃれている音を聞きながら、わたしはお弁当テトリスを作り上げている。
夫が起きてくる。ひとしきり、猫にちょっかいを出す。抱きしめて嫌がられる。
娘が起きてくる。ひとしきり、猫に以下同文。
家族がご飯を食べている間も、たいてい一人遊びを続行。ついでに爪を研ぎ、トイレで大を済ませる。大をすませると、気分がスッキリするのか、遊びのギアチェンジが起こる。食器の後片付けをするわたしの足に飛び掛かったり、制服を着た娘に抱っこされたがったりする。
その後は、とにかく一度でいいから外へ出してほしいと、ヒートアップするとわたしの手足をかじったりするので、これには閉口。
しかし、娘も夫も出てしまうと、ちょっと落ち着く。わたしが洗濯物を干すのについてきたりするけれど、飽きるとコタツへもぐりこんでしまう。
わたしも、仕事に出かける。そっとそっと、。リビングの扉を閉める。
昼、わたしは昼休みで帰宅する。
猫はたいがい、寝ている。コタツの中だったり、籠のなかだったり、爪とぎのうえにだったりする。
お昼のご飯は皿の中をのぞいて、足りないようだったら少し足す。見ていると、食べたり食べなかったりでムラがある。わたしは、猫を起こさないように、そーっとご飯を用意してさっさと済ませる。
夕方、わたしが仕事から帰宅。リビングの窓のところで外を見ていることがある。車から降りる前から猫と目が合ってしまう。
そんなときには、外へ出たいときだけれど、こちらの都合もある。
都合がつくときには、短い時間、外を歩く。通学路を散歩するので、下校する子どもたちに「カワイイ」と声を掛けられることが多いが、猫本人は子どもは苦手らしく、ぺたんとうずくまる。
散歩から帰ったら、オヤツをあげる。夕飯を作る。ついでに猫にもお夕飯。
夕食はなるべく早めに終わらせて、猫待望の散歩時間を迎える。
ご飯を食べているときから、リビングの扉をカリカリしてアピールしたり、階段を数段登って監視するごとく、きりっと座っている。
無言のプレッシャーを感じつつ、パパっと食事をすませるわたし。
「さあ、散歩だよ!」
ライト付きのリードを装着して、わたしはモコモコに厚着をして、いざ出発。
夏は虫よけスプレー、冬はひたすら防寒着。田舎ゆえ、八時過ぎなど人影もなく。
わたしはラジオを聞いたり、スマホでツイッタを覗いたりしながら、一時間前後の夜散歩は欠かさない。
しょうじき、シンドイ。夏は虫に刺されるし、猫に引っ張られて蜘蛛の巣に突入しちゃうし、蛙や蝉は捕まえてくるし。冬はとにかく痺れるほど寒い。夜露が凍って、月光を浴びてキラキラ光るのをみる。草のうえなど、あるくとサクサクと音がする。いつの季節も我慢大会だ。
それでも頃合いを見計らって、猫を抱っこして帰宅。強制終了。戻ったら、またオヤツを少々。
あとは、わたしは家事を片付け、猫は毛づくろい。
わたしがお風呂に入っている間は、浴槽の縁に座っていることが多い。
家族の中で一番先に布団へ入るわたし。
読書灯をつけて漫画や文庫を読んでいると、左の頬にフワフワしたものが当たる。
猫がいつのまにか、来ている。わたしの頭の左側に、くるっと体を丸める。猫の後頭部がわたしの肩にちょこっと乗る。
ふわふわとして、ほんのり温かくて。
ああ、世界一幸せだなあ……。そんなふうに思う。読書灯を消して、わたしも眠る。散歩の苦労など忘れて。
猫が、家に来てくれて、よかったなあ。そんなふうに感じながら、目を閉じる。
そして、また朝が来る。
問 「冬になったなら、猫の散歩時間は減るのだろうか」
答 「変わらない」
以上!!




