表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫活!!  作者: たびー
2/32

華奢な骨格、きっと雌

そもそもの猫との出会い

 猫に会ったのは、一月の中旬だった。

 実家のお客さんから電話が来たのだ。

「〇〇さんの家、猫好きだったわよね?」

 と。

 それは兄の同級生の母うえからで、外猫を世話しているSさんからだった。捨て猫を保護しているから、飼わないかという。

 我が家は猫が大好きだ。好きだけれど、実家のほうは数年前に立て直したばかり。我が家は築十年。

 わたしの家ならば、飼って飼えないことはないけれど、夫は家が荒れるのを嫌がるから難しい。だから、無理だろうと思っていた。

 しかし、ちょうど仕事でSさん宅へお伺いすることがあり、まあ猫がさわれたらいいや…ていどの軽い気持ちで父とわたしとで出かけた。


 猫は、美容院を営むSさん宅の店舗スペースにいた。母屋では小型犬を飼っており、猫と分離するためだった。

「こんばんはー」と声をかけると、Sさんがよく来た、とばかりにさっそく猫を見せてくれた。

 子猫と大人猫の間の大きさ、中猫。


 あ、たびだ! と思った。


 たびは以前飼っていた猫で、サバトラ、四本の足先が白く足袋を履いていた。

 こちらのねこのは首、胸、腹と前足が真っ白で後足に内側から模様を巻いたけど正面まで届かず、といった風情。

 たびとよく似たその猫は、わたしの腕に抱かれると暴れもせず、目を閉じて喉を鳴らした。


 華奢な骨格、これは雌だな。そして大人しい。鳴きもせず暴れもせず。うん、いい猫だとその時思った。

 私の次にだっこした父も、すぐにメロメロ。しかし、だからといって急にもらえるはずもない。

 その日はそれで終了。後ろ髪引かれる思いで帰宅した。


 猫は寒さが厳しい一月の夜に、sさん宅前に車から投げ捨てられたらしい。深夜鳴き続ける声に負けて保護したのだと。

 飼い猫だったらしい証拠には、人なつっこくトイレもすぐに覚えた辺りでなんとなく。それに体もとても綺麗だった。

 こんなかわいい猫、どうして捨てちゃったのか。

 元の飼い主への怒りが沸々と込み上げたりもしたが、旦那に猫を飼いたいことを打ち明けられず一週間二週間と過ぎていったのだった。



勘違いは後にわかる。いまも相変わらず骨格は華奢。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手 by FC2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ