猫の気持ちはしっぽに聞いて
我が家の猫のしっぽは長目らしい。
さて、冬の装備で散歩に出かける夜が増えてきました。日中は暖かくても、日が落ちると吐く息も白くなります。そのうち、貼るカイロが大活躍することになるのでしょう。
夜の時間帯になると猫も分かるのでしょう。一気に落ち着きを無くし、リビングから玄関に続く引き戸のまえとわたしとの間をせわしなく何往復もするようになります。催促するように、鳴き声も長くなります。
「んにゃあーーーーーーーーンッ」
長い、長いよ!? そうなると、もうわたしも方も急かされて、ご飯をかきこみさっさと準備です。
猫には、百均で買った小さな赤いライト付きのハーネスを装着、わたしは冬の上着にネックウオーマー、手袋といういで立ち。それに時間つぶしのラジオ・またはiPod、ペンダント型の電灯と小型の懐中電灯といった大荷物で出かけます。
玄関から外へ飛び出した時の猫のしっぽは、まっすぐに上に伸びています。嬉しい時には、しっぽがぴーんってなるんですね。犬だとさかんに振るところですが、猫は振らない。ピーンとさせて、フルフルと小刻みに震えさせます。
ひとしきりの興奮が静まると、しっぽは地面と平行くらいになります。ゆっくり左右に揺らすのは、ご機嫌なとき。いつもの通り道の植木や塀の角などの匂いをかいで、他の動物たちの動向を確認しているようです。
それから、草原に行くと、追い回せる小さな虫やカエルと遭遇します。獲物を狙うとき、体を伏せて、しっぽは地面を掃くように左右に揺れます。
興奮しすぎると、歯をむき出して「カカカカカカ」とちいさく唸ったりもしますね。
そのほか、左右にしきりと振るのは何か気になるものがあるときや、イライラしているとき。
あるとき、ふと気づくとしっぽがブラシのように、膨れているときがありました。うちの猫のしっぽは縞々なので、まるでアライグマのしっぽみたいになっています。
「どうしたの?」
と尋ねると、とつぜん左手の暗闇から猫が二匹飛び出してきました。猛スビートでわたしたちの前を横切っていった猫たちを追いかけようとする、うちの猫。変な唸り声をあげて、なぜかその場で何度もジャンプします。
そのままの勢いでわたしの手から綱を振り切り逃げていくのでは、と焦っておさえつけてました。
抱っこすると、意外なことにすんなりとわたしの腕に収まりました。小さく小さくふるえています。
――追いかけたいって気持ちもあるけど、やっぱりちょっと怖かったみたいだね……。
その日はそこでお散歩は終了。抱っこして家に戻りました。
しかし、あんな真っ暗闇でも猫は他の猫の気配に気づいているもんだなんだなあと、あらためて猫の能力の高さに驚いたのでした。
ついでに背中の毛を逆立てることもあります。見事に背中の毛が三角の頂点みたいに尖がります。




