猫と煙は
高いところが好きなものと言えば……
すっかり秋めいてきました。猫の散歩はいつまで続くのでしょうか。夜散歩のときには、がっつり冬の格好になりつつあります。
さて、猫は高いところが好き。
大型のネコ科が、樹上で休んでいるところなど画像で見かけることもあります。
うちの猫もご多分に漏れず、カーテンをよじ登ったり、木に登ったりしています。外に出るようになってからは、カーテンにはあまり魅力を感じないのか、そちらはおさまりつつありますが。
初めてりと氏が木に登ったのは、お散歩を始めてすぐくらいでした。きっと彼の中には「もっと高いところに上りたい」という欲求があったのでは、と思っております。
そんなわけで、最初は生垣の柴に潜り込みました。せいぜいが百五十センチくらい。低いものです。しかし、枝が込み入っているので、リードが絡みつき下ろすのに苦労しました。
その後は、散歩コースにある栗の木。樹齢何年なんだろうか。わたしが子供のころからあったのような、なかったような。とにかく、堂々とした枝ぶりです。地上から一メートルくらいのところから枝が、大きく数本に分かれてるいるあたり、「初心者」には手ごろだったのでしょう。りと氏はリードなど振り切って一気に登りました。
大きな枝の上から、わたしをチラリと見ます。わたしは、もしもリードが木に絡まったら……と気が気でなく、冷や汗かいて木の下を右往左往。そんなことにはお構いなく、りと氏はぐいぐいと上まで上がっていきました。
ひぃぃぃ。
しかし、その後降りるのには手間取り、わたしが下から「この枝、ここに、ここにおいで!!」とか誘導しつつ、リードが絡むことなく無事着地。
これから、木に登りそうになったら、リードを外さないと危険だ。と思いました。リードを外すことは、いろいろと心配ですが、なんせ木の上ならばそれ以外に逃走しようがないのが救い。
そう思うようにしました。
さて、それからは近所の主だった木には登りました。
杉、柿、桜、銀杏エトセトラ。
柿の木は数年前に枝を落とされていて、上るのは簡単なのですが、降りるための足掛かりがなく、うえのほうで「にゃあーにゃあああああ」と心もとなく泣き叫び、結局梯子をかけておろしました(娘に上ってもらいました)。
枝がないと、おりづらいんですね。猫とは言えど。
そして、「リードが引っかかる」という事故、じつは一度発生しています。しかも、文学フリマ岩手の当日の朝に!!
そろそろ出かけようかな、でもまだ少し時間があるからな。と、りと氏を外に連れ出したら、近所の桜の大木(「幽居にて桜をみおくる」のモデルになった木)に、リードを外す間もなく上って行ってしまったのです。
しかも、いつもより高いところ高いところへと行くではありませんか。
大丈夫、降りてこられるよね? 時間も迫っているし、と焦りながら下で待っていましたが、なかなか降りようとしない。
ようやく降りるそぶりで枝を移動していましたが、りとの動きがピタッと止まりました。
首を、くんっくんっと動かしますが足が前に出ません。
ああああ!!! 引っかかってる!!
リードが小さな枝に引っかかってしまっている!!
戸惑うりと。なんどか動こうとして、だめだと理解すると、ちらっと下を見て逡巡する。
「ちょっとまってぇぇ、下りないでぇぇ」
このままでは首を吊ってしまう。わたしは電話で旦那にはしごを持ってくるようにお願いしました。
そして、少しでもと思い、桜の木によじ登る小母さん(わたし)。
この年で、この年で、木登りかよ!?
しかし、たいしたことない思っていた高さは、とんでもなく、猫のいる枝までなんていけそうにないのです。
なかなか来ないとじれていたら、旦那ははしごと屋根の雪下ろしの道具を持ってきました。雪下ろしの道具は、アルミ製のでっかいトンボ(グラウンドとか均す、アレ)のような形をしていて、かなり高く伸ばすことができます。
なんでコレ??
と、思ったら引っかかってる紐をそれで下から上にくいッと外してくれました。
すごい、旦那(めったに思わないが、この時ばかりは感謝しきり)。
「んにゃあああ」と枝を伝って降りてきた、りと氏。
わたしも木登り終了。
あとは、文フリのある盛岡へと出かけたのでした(みうみさんを駅までお出迎え)。
そんなりと氏、つい先日はよそのお宅の屋根に上り、わたしは屛をよじ登って奴をおろす羽目になったのですが、それはまた別の機会に。
冬になったら、よじ登るだけのキャットタワーを設置しようかとおもったり。




