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アウトロー  作者: ダブルシュガー
第0章 プロローグ
2/15

始まりの戦い

ダブルシュガーです。

 最近投稿を開始したド素人なので、語彙や文脈とか残念な可能性が高いです。

 基本見切り発車です。

 変な点があったら教えてください。


 炎と氷結、地割れに落雷、世界中の災害を集約したかのような空間が、そこには広がっていた。


 「マキシマイムマジック・メギドフォール!」


 金髪金目の美少女が酷薄な笑みを浮かべ魔法を唱える。それは間違いなく人間程度ちんけな存在が起こせる奇跡ではない。人外の怪物。それがこの美少女だ。


 詠唱と同時に大気が歪むほどの熱量があたりを支配した。その根源たる紅蓮の小球はみるみるその規模を大きくし、餌を求めるかのようにうねりを上げ、目の前の敵へと襲い来る。直撃は愚か、掠っただけでも致命傷になるほどの熱量、それを――――――


 「いと慈悲深き大地神に希い奉る。我は敬虔なる信徒が一人。矮小なる我が身に大いなるご加護を!」


 この奇跡を唱えたのは神官服の少女だ。

 言葉の終わりと同時に出現した半透明のベールがその熱量までも遮断する。荒れ狂う炎はベールを飲み込むが、中の四人には影響は皆無だ。しかし、そう何度も使える技ではない。


 「リーシャ!あとどのくらい持つ!」

 「まだまだ、全然平気です。」


 息も絶え絶えで強がる少女に剣士風の男は苦い顔を作る。

 どう見ても無理をしている。自身のキャパを超えた奇跡の行使は命を削る行為に他ならないのというのに。

 とはいえ、今リーシャが抜ければ防御は崩壊、間違いなく瞬殺だ。


 「おっシャア!準備できたぜ!」


 待ちに待った、野太い男の声にパーティー全員の士気が上がる。


 「たく!遅いぞ!」

 「あは!これでだめだったらどうする?」

 「そん時は尻尾巻いて逃げんだよ!」

 「逃がしてくれればだけどね。」

 

 「長話もいいがそろそろ行くぜ!『絶技・3分間の絶対守護神リミテッド・パーフェクトヒューマン』。」


 黒色のガチムチがガーディアン最強最高の武技を発動。その武技とは3分間、あらゆる攻撃を無効とし、技の発動を見た敵に自分以外への攻撃を封じると言う物。つまり今彼らは特攻同然の無敵時間である。

 もちろん、そんな好機を逃がすような馬鹿ではない。


 「マキシマイムマジック・氷結世界!」

 「絶技・六崋斬!」

 「絶技・アーチャー・フォーレ!」


 魔術師の女、剣士の青年、弓士のナイスガイ!

 

 魔女の放った魔法が少年の体を氷で閉ざす。間髪入れずに剣士の絶技が炸裂、止めとばかりに弓士の紅蓮の弓矢が氷を貫く。それを受けた少年は文字通り跡形も無く消え失せた。

 というか、そうあってほしい。


 「ふぅ――――。かなりヤバかったな。」

 「ええ、本当に死ぬかと思いました~。」

 「それな!」

 「ほんとよね。」


 ガチムチの言葉に女神官、弓士、魔女の順に答えた。そして、最後剣士の男が白い歯を見せ、


 「だが、俺達が勝った!」


 ニヤリと笑った。

 剣士の言葉に皆も実感がわいてきたのか、顔をほころばせる。


 「はぁ~、これで私たちも卒業ですね!」と女神官。

 「その前に英雄だろ?」と弓士が軽口で応じる。

 そんな弓士にやれやれと肩をすくめる魔女。

 そして―――――――――――

 「ええ。かなり危なかったですね?あと少し避けるのが遅れていたら取り返しのつかないところでしたよ?」


 けろりとした表情で美少女が話に乗った。



  示し合わせたかのような見事な絶句。先程までの戦闘音が嘘であるような、ただとてつもない緊張をはらんだ、静寂が場を支配していた。

 5人は最悪の展開にゴクリと喉を鳴らし、お互いに目線を送りあう。―――――逃げるにしろ戦うにしろ連携は必須だ。


 そんな石像のように固まる四人に美少女はこてりと首を傾ける。


 「?・・・どうしたの?」


 「お、お前・・・不死身なのか?」


 「ああ!なるほど!確かにそれは少しズルっぽいよね?でも安心しなよ。僕は不老ではあるけど不死身じゃないよ。」


 剣士の問に懇切丁寧に答える美少女。

 全く持って安心できない言葉に剣士が苦い顔で応じる。それをどう受け取ったのか美少女は、


 「実際さっきは不味かったよ?範囲指定も威力調整も碌に出来なかったんだよね♪・・・あはは、おかげでこのざま~」


 と、真っ赤に染まった自分の体を指さしへらへらと笑う。真っ赤に染まったとは言ったが、傷らしい傷は見当たらない。ところどころ残った傷もジュワジュワという耳障りな音を立て修復が開始されていた。

 不死では無いのかもしれないが、それに近しい何かであることは確かである。

 故に――――――

 「―――――化け物が!」

 「あはは、流石に傷つくな~。」


 剣士の言葉に頬を掻き美少女が答えたのだ。

 あどけなく幼さを感じる仕草だが、その瞳は狂気じみた色を写していた。


 剣士は少女の狂気に逃亡の困難を悟り、小さく舌打ちをする。


 「―――――――っち!」


 1人2人ならば逃がすことは出来るだろうが、その場合残った3人は確実にDEAD ENDである。


 意見を求め4人を見ると、剣士の瞳に頷きが返る。

 そんな逞しい仲間の姿に結論を出し、メラメラと剣気を練り上げた。他の4人も剣士の剣気に呼応するように闘気を練り上げる。


 肌がひりつくほどの荒々しい闘気、それを一身に受けるのは少女だ。少女は身じろぎをし、無駄にエロイ仕草で薄い唇を舐めると、


 「いいわ!いいわ!すごくいいわ貴方達!あははは、誰から頂こうかしらぁ?」



 品定めをするように不躾な目線を送った、舐めるように金色の瞳が5人を一周、再び戻した視線は魔女の前で止まり。


 「あぁ~、貴方が一番よさそうねぇ」


 そう言い身をかがめる金色は突如その姿を消す。いや、実際に消えたわけじゃない。ただ5人の戦士から知覚を奪うほどあり得ない速度を出しただけだ。


 脅威を見失い騒めきたつ戦士。脅威はある、だが、それを見失った。その最悪の上をいく最悪に剣士は歯噛みするが、一転その顔を恐怖へと固まらせる。

 その視線の先にあるのは―――――


 「―――――エルザぁ!」


 エルザと呼ばれた魔女の後ろの空間がゆらりと歪み、金色の殺戮者が紅蓮のナイフとともに現れたのだ。その燃え盛るナイフが目指す先は柔い首筋。

 エルザは剣士の怒声に一瞬遅れて反応し自身の状況を理解する。女神官の悲鳴が響き、エルザは斬撃と血吹雪の予感に顔をこわばらせ―――――


 「――――――――うおおおおお!!!」


 突き飛ばすようにガーディアンがエルザにぶつかった。背中に鋭い衝撃を感じたが気合で無視。覆いかぶさるようにエルザを守ると勢いのまま転がりまわる。


 「ぶへ・・・・のが・・・!」と、無様な声を上げ5回転したあと二人は止まった。


 「助けるためだ、変態とかゆうなよ。」

 「いう訳ないでしょ!・・・その言葉が無ければ素直に感謝したのに。」


 軽口をたたきあう二人。


 「もおぅ、邪魔しないでよねぇ~」


 無駄にエロイ仕草で不愉快を表現。じだん場を踏むと、一転顔をほころばせ


 「でも、今の動きはよかったよ」


 恍惚とした笑みを浮かべた。


 少女は血が焼けこげるナイフを妖艶に舐め、狂気の視線を無防備に倒れ伏す二人に向ける。その結末は自明である。


 「なかなか楽しめたよ?・・・・・・byeばい。」


 燃える無数の紅蓮が二人を覆った。


――――――――――


 大気を歪ませるほどの豪火に肉は爛れ、骨すら溶かし、二人の若者の命が絶たれる。それが起こりうるはずの未来であった。


 ―――――――業火が二人を襲う直前、二人を隠すように白い影が現れる。それはそこに居るだけで安心感を起こさせる長身の男。白髪の髪をなびかせた彼が剣を抜くと横に一線。その剣圧だけで突風が吹き荒れ、炎は霧散し、辺りを静寂が飲み込んだ。


 時が止まったかと思うほどの無音の世界。

男の威容はまさに今、生死を分かした二人の戦士も、怒りと闘気を上がらせた剣士と弓士も、狂気に歪む怪物の顔すら凍らせて、戦場を凍り付かせたのだ。


 男は赤目で怪物をけん制しながら、事務的な声で隠した5人に言葉を伝えた。


 「試験は終了。お前ら全員留年だ!」


*************************************


 「いやいやいやいや、何帰ろうとしてるんですか。」


 金色の美少女からの最もな苦言に5人は一様に教官を見上げる。

 教官はやれやれと体を戻し、


 「今回は引き下がってくれないかな?魔王アデル。」


 「これは僕みたいな田舎者までご存じとは恐悦至極だね。・・・・・けどま、出来ない相談だよ?」


 「どうしても戦うというのなら私は貴女を殺さないとならない。」


 「では聞くけど、貴方は肉を前に引き下がる獣が居ると思うかい?」


 「・・・・・・なるほど。ならば仕方ない、か――――――――――力づくで理解してもらおう」


 そう言い放つと、白髪の剣士は再び剣を抜き正中にそれを構える。その姿一つとっても彼がけた外れの達人だとずぶの素人にも伝わるだろう。

 それに相対する金色も並ではない。人間程度がどれほど鍛錬しても持ちえない強大な生命の波動を息をするかのように発しているのだ。その顔には先程までの余裕綽々な表情は消え真剣な薄い笑みが浮かんでいた。


 「じゃあ、楽しませてくれよ!」


 最初に動いたのは金色の美女アデルである。アデルは紅蓮の炎で身を守り、煌々と燃え盛る大剣を作り上げる。

 その炎剣は意志を持ったかのように荒れ狂い、少女の斬撃と呼応して蛇のように獲物に迫るが―――


 「はっ――――!」


 剣を一振り!白髪の剣士は炎剣を根元より断ち切り、尚も迫ってくる蛇を軽くよけ、さらに一歩を踏み込む。直後、地面を踏みつける異常音とともに左足が弧を描くように少女の腹を蹴り飛ばし、


 「ふはぁ」


 無駄にエロイ喘ぎを上げて少女はくの字に吹き飛んだ。


 10メートル以上空を舞いようやく少女の体は止まる。「はぁ~ん」と、妖艶な声を漏らしつつ、イナバウアーの要領で立ち上がるシークエンスに入る。


 「ああ、いいわぁ。今のはかなり、感じたわ」


 「どうです、剣を引く気にはなりましたか?」


 「むしろ逆に燃えてきちゃったわ・・・・・・・それにしてもこれ程の強者。名前を教えてくれないかしら?」


 少女のこてりと首を傾け、白髪の剣士を見るが、それに答えたのは教官では無く5人の生徒だった。


 「聞いて驚け!この男はな、サディスティック星から来たサディスティック星人の末裔だ!」

 「その上、女子供にも容赦なし!」

 「決して復讐を忘れぬ執念深さ!」

 「泣く子も、しごく冷酷漢!」

 「あ、あと・・・剣帝って呼ばれてます。」


 矢継ぎ早に最低の情報を漏らす生徒に珍しく少女は唖然とした様子を見せる。

 まあ、情報の真偽はさておき少女の耳は聞き捨てならない言葉を聞いた。


 「剣帝?もしかして貴方、剣帝シリウス・レッドかしら。」

 「(取り敢えずあの阿保共は後でしごき倒すとして)ご存知でしたか。魔王にまで知られているとは光栄ですね。」

 「知らない方が可笑しいでしょ?剣帝って言ったら剣聖、剣王と並ぶ世界三大剣豪じゃない?そんな人と戦えるなんて、ホント今日はついてるわ」

 「あはは、買いかぶりすぎですよ。私はただのしがない一教師です。」


 シリウスは手で後ろに合図を送り、


 「下がってなさい!少し本気を出します」


 「あら?何を見せてくれるのかしら?」


 「―――――――――――――剣帝の剣撃を!」


 瞬間シリウスを中心に凄まじい気が吹き荒れる。それは先程までの剣戟は遊びだったのだと無理やりに知らしめる圧倒的な剣気!

 そんな中でシリウスの紅蓮の瞳はこの結末が見えているかのように全くの曇りがない。

 剣帝はこの場の全ての期待を背負い、愛剣を大上段に振り上げて―――――――――


 「―――――――――――さあ、終わりにしようか!」


 青年が声高に謡った。

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