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朝からステーキと役割

ジュー。


トントントン。


ピュロロロロー。


目が覚めると、聞こえる様々な音。見えるのは天幕の天井。


あー寝すぎた。昨日のエルフ達との飲みが効いてる。


俗世から離れているエルフの里の一番の娯楽食事だ。それもあって、エルフは美食家と酒好きが多い。酒は何故か娯楽に入らないのが不思議なところだ。


植物に詳しい特性もあって、昨日酒とともに勧められた薬草が効いたんだろう。あれだけ飲まされたのに二日酔いにはならずにスッキリしている。


「ぱんぱー。」


勇人が俺の身体をよじ登る。


俺がそっと起き上がると、登りかけていた小さな身体がコロコロと転がり落ちる。


「きゃいー♪」


朝から楽しそうだ。


とっくに隣にいたゆりは居ない。

まだ聞こえる規則的な音はゆりが調理している姿だろう。


支度を整えて勇人を抱いて外に出ると、ちょうど朝食を作り終えたらしいゆりと、エルフの女性の姿があった。確かリアナという名だったはずだ。


「おはよう。リト。よく寝てたね。」


満面の笑みでゆりが迎えてくれる。ゆりに近づくと躊躇いなく口付ける。


「はよ。」


そこで照れてゆりが怒るのはいつものことだ。そんな姿も可愛いと思うあたり、自分でも相当やられてると思う。


いつもと違うのは、リアナから送られる生暖かい視線。


「あつあつね〜。」という言葉にゆりの顔がさらに真っ赤に染まる。


リアナはイナリを膝に抱いている。リアナのモフりが神がかっているのか、リアナの膝で気持ち良さそうに仰向けでピクピク震えている。


今朝の朝食はリアナからのお裾分けだという野草と鶏のリゾットに野草サラダ、分厚いビッグホーンディアのステーキだ。


朝から豪勢な食事だ。

何でも昨日の晩餐のお礼も含めて、リアナが食べたいといった肉料理を作ったそうだ。


「あー美味しい。新鮮な肉のステーキなんて何年振りかしら。」


エルフと厚切りステーキ。初めて見る光景だ。

新しく整備しているこの地域には既に何人かのエルフが整備にやってきているが、皆大きな口で肉を頬張るリアナに顔をしかめている。やはりリアナが特殊なようだ。


「旅人にとっても肉は貴重な栄養源だから、干し肉のおこぼれを貰うのが大半なの。たまに小さかった時は新鮮な肉を調理して食べさせてもらったけど、この里で肉を食べるのは私だけだからあんまり強くお願いも出来なくて。」


この味付けも素敵ね。と絶賛朝食を満喫している。


女同士会話が弾むのか、食べながら様々な話をしている。会話をする中でこの里の現状やこれから手伝う内容も見えてきた。


大まかに復興の役割を分けると、まだ森に潜む冒険者の捜索と里の警護を担当するリアナ率いる騎士部隊、村の復興計画を立てて実際に新しい地区に家や畑、商店を建てるヤニスさん率いる開発チーム、外から来る商品を手に入れる為の薬草などの商品を生産するサーシャさん率いる生産チームの3つだ。


そしてヨハンさんが全体を取りまとめている。


ヨハンさんも忙しくしているそうで、俺達に手伝って欲しい内容もリアナに一任されたそうだ。


「ゆりには母が担当している生産チームを手伝って欲しいの。もともと外に売るための商品だから、外で需要があるものを作りたいし、なんならこの里が豊かになるような知識も貰いたいから。勇人がいればマリアの遊び相手が出来るしね。」


リアナの意見に俺も賛成だ。3つの仕事を考えると、消去法でもこの仕事になるが、もともとものづくりはゆりに合っている。


「リトには日によって、私かヤニスを手伝って欲しい。男手があるのは心強いからね。あと、可能であればイナリを私に貸して欲しいんだけど、可能かしら。」


イナリは耳がいいので、探索にも役立つ。里の中ならゆりも危険は少ないだろうということで、イナリはリアナのチームを手伝うことになった。


初日の今日は、俺はヤニスさんの手伝いをすることになった。


少しの間でも離れると知って、リアナの膝にいたイナリがゆりの膝に飛び乗る。賢くてもまだ幼いイナリは寂しい気持ちを隠すことなく、しょんぼりと尻尾を垂らしながらゆりにすり寄っていた。


ゆりも流石にイナリの気持ちに気付かない訳もなく、イナリを目一杯撫でていた。


イナリの寂しさが伝わったのか、勇人も真似して俺に擦り寄る。甘えられるのは嬉しい。ゆりもこれくらい甘えてくれたらと思いながら、朝の時間を過ごした。

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