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森の中とエルフの村

「あの赤い細い木の根っこが、甘根って呼ばれてて、煮詰めて灰汁を取り続けると根砂糖になるの。」


「あ、その黄色い蔓草には気をつけて。気付け薬の材料になるけど、直接触れるとショック死するから。」



人間達が根のルートを通るのには理由があったみたいです。根のルートは日当たりが悪いので、いい意味で植物が育たない。この上のルートは、大きな木々が邪魔していてもある程度の日光は届くので、様々な植物が育つ。


触るとショック死とか怖いんだけど。


チュリは妖精さんなので、植物の知識はある程度備わっていて、知らないものでも植物と会話できるそうで聞いたらわかるとのこと。



妖精さんて万能なのね。


この上のルートに上がったところでチュリに会えて本当に良かった。お昼寝万歳。



私も薬草術の役に立てるため、ある程度この森でメジャーな薬草はチュリに教わりながら、森を進んだ。



今日も今日とて、バッタリ魔物に出くわしたりする。



目の前にはテントウムシの魔物、テントマン。

野生なのに槍のような武器を持つ魔物で、グループ行動する習性があるらしく、5匹が頭上から襲ってくる。


「あうあー!」



テントマン達の頭上に巨大な水の塊が出現する。


え、待って勇人。



「あ、勇人だめよ。テントマンは水に強いから、水魔法は相性悪いわ。」


チュリがさらっと忠告する。


「うー?」


待て待て勇人。集中を切らさないで!

そして妖精さん、突っ込むところそこじゃない!




防御(バリア)!!」



私が叫んで魔法を展開させたと同時に、頭上にあった巨大な水の塊が私達の頭上に降ってきた。テントマン達を巻き込んで。


そりゃあ頭上から襲ってこようとしてた、そのさらに上に魔法を展開させたらこうなるよね。



バシャーーーンと派手な音を立てた後、シーンとなる。周囲を見渡すと、水の重力と防御魔法の圧力コンボにやられたテントマン達が横たわっていた。


「そういう作戦だったのね。コンビネーションばっちりね。」


違うよチュリさん。危機一髪です。





同じことが起きては困るので、心を鬼にして勇人を怒る。



「うあーーーー!あーーーーー!」




静かな森に勇人の泣き声が響き渡る。


チュリは慣れないからか、勇人の側をパタパタと飛んでは、私の顔をチラチラと伺っている。



イナリは泣き声が良すぎる耳に響くからか耳をペタンとして、周囲の魔物を警戒する。


リトもその様子を苦笑しながら見つめて、足場が悪くて揺れる私の身体を支えながら、手綱を握っている。



しばらくの間は好きなように泣かせていたけど、流石に迷惑なので溜め息をつきながら勇人の身体を籠の中でこっちに向けて、背中をポンポンとする。


勇人の泣き声が落ち着いてきたところで、念押しでお説教。躾は大事だからね。


「魔法を使うなとは言わないよ。でも、みんなを危険に晒しちゃダメでしょ。遊びで魔法は使っちゃダメだからね。魔物に向かって魔法を使う時は私を見てからにしなさい。」


「うー。」


俯いていた顔を上げて、不貞腐れたような顔で見上げる可愛いつぶらな瞳。


「不満そうな顔しない。返事は?」


可愛くても負けないんだから。


「…あいー。」


よし。




そんな騒動もありつつ、さらに2日かけて森を進んだ昼下がり、エルフの村の入り口に到着した。


入り口は巨大な木の幹に巻きついた、根?枝?が螺旋状に木の上の方まで続いている。もちろんウィースも余裕で乗れるくらいに規模は大きい、その螺旋状の道を木の幹にそって登っていくらしい。


ちなみにこの道は根の下の道から続いていた。




この森のエルフ達は、巨大な木々の中腹に集落を作っている。ちょうど幹の中腹あたりから多くの枝が飛び出して分かれていて、その枝は他の木々と絡まって繋がっている。


枝も例に漏れず充分に太くて大きくて頑丈なので、その上にログハウスのような家々が建ち並んでいる。この場合は木の上のだからツリーハウスかな。



集落の入り口についた私たちは、見張りをしていたエルフの衛兵さんに、その場で待つように言われる。


最初は突然現れた私達に警戒して、「即刻立ち去れ。」って無表情に追い払われそうになった。余所者に厳しい噂は本当みたいだ。


厳しい目で見る衛兵さんは、何故かウィースをチラチラ見ながらも、通してくれそうにない。そこで、顔見知りのチュリが衛兵さんに話しかけると、どうやら妖精はエルフから敬われる立場らしく、族長さんに掛け合ってくれることになった。


チュリ様々だ。



衛兵さんが戻ってくると、族長さんにまずは会ってお目通しが必要とのことで、族長さんの家まで案内される。


枝から枝へと他の木へ渡り歩き、そしてどんどんと上へと登り、この森で1番高い木の頂上付近までやってきた。



なぜ1番高いかわかったかというと、チュリが教えてくれたのと、族長さんの家の前にウィースを繋ぐ時に見渡したところ、今いる場所と同じ高さに木がなかったからだ。といっても僅かな差で1番高いだけみたいだけど。


族長さんの家も例に漏れずに、ツリーハウスだけど、他の家よりは立派な佇まいだった。


衛兵さんが族長さんの家の護衛の人に声をかけると、その人が家の中まで案内してくれた。


応接室は特にないようで、広い居間に通される。



そこに居たのは、金色の長い髪、翡翠色の眼、白い肌、綺麗な顔、尖った耳と、まさにエルフというような男女と、女の人に抱かれた小さな赤ん坊がいた。

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