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ポトム断念と新たなルート

ソヨンの街の印象は、賑やかな田舎町だ。



畑と牧場に囲まれて、第一次産業を主流として栄えている。穏やかな気候で、人々も穏やかだ。



食材は美味しいが、目立った産業や近くにダンジョンや採取のできる森がないので、冒険者からの人気はない。あくまで旅の中継地になる。



冒険者ギルドもそれにつられて、藁葺き屋根の他のお店と変わらないような規模になっている。それでも情報ネットワークはどんなに小さな冒険者ギルドでも整っていて、ポトム行きの相談にも快く応じてくれた。


「武器や鉱石目当てで、この街経由でポトムに向かう冒険者は多いんですよ。大陸西部や南部は山が少ないですからね。資源が豊富なマンテノウス山脈は宝の山といっても過言ではありません。」


そう言って地図を広げるのは、同年代くらいの眼鏡をかけた男の子だ。黄金色の天然パーマが愛らしい。


「まずお聞きしたいのが、貴方達の最終目的地です。武器を買いにポトムに行かれるなら、ポトムへの現状最短で安全なルートをご提案します。もし目的地がマンテノウス山脈なのであれば、現状ポトム行きはオススメしません。」


彼が言うには、現状ソヨンとポトムの中間地点であるウィンデンガルデ王国と、さらに南東に位置するテンマ王国で戦争が起きそうだという。


「ポトムやソヨンはウィンデンガルデ領になるので、徴兵はありませんが戦争のために武器や食糧の提供は義務づけられています。ポトムに行ったとしても物価の上昇でまともな武器は期待できないでしょう。」


冒険者ギルドは各国から独立した団体なので、冒険者の戦争への参加は推奨していない。冒険者が巻き込まれてしまう場合も少なくないが、このように情報提供してくれるのだ。



「オリエンテじゃ聞かなかったが、最近になって戦争の話が出てきたのか?」


「以前より緊張状態にはありましたが、ウィンデンガルデ王国内でドワーフと他種族との対立が悪化して、ドワーフの大半がマンテノウス山脈にこもってしまいました。これをテンマ王国は好機と捉えて戦の準備をしていると噂が流れてきています。」


なんだかすごいタイミング悪く来ちゃったのかな。


「俺たちの目的はマンテノウス山脈だ。ポトムが安全でないのなら、別のルートを教えてくれないか?」


「わかりました。ウィンデンガルデの戦争を避けるのであれば、ここから東にマンテノウス山脈へ向かうルートは避けた方がいいと思います。この川沿いはウィンデンガルデ領なので。」


ソヨンから川沿いにマンテノウス山脈へ伸びる道にバツ印が入る。


「川を越えて南東に回り込むとテンマ王国なので、このルートも避けましょう。となると、マンテノウス山脈へのルートは北東から回り込むルートになります。」


「かなりここから北上することになるな。」


「マンテノウス山脈は険しいので、入れるルートが限られます。ポトムが厳しい以上、最短となるのはこの左回ルートです。情報に長けているソヨンの冒険者ギルドから提案するなら、ここから北上して穀倉地帯の黄金の(ゴールデンロード)を抜けます。シュダットの森を越えて、イルバニア渓谷からマンテノウス山脈に入る道をオススメします。大きな街は通りませんが、イルバニア渓谷の山道から入る利点としては、その道がドワーフ王国に繋がっていることです。」


「ドワーフ王国?」


「言葉通り、マンテノウス山脈に住むドワーフ達の王国です。世界でも珍しい山中にある坑道を繋げて出来た国家で、人口の8割以上がドワーフだと言われています。ワクワクしますよね。」


冒険者ギルドのお兄さんの目が輝いた。ドワーフ王国をお勧めしたいって顔に出てるよ。


「ミーハーな理由は置いたとしても、マンテノウス山脈内の国を拠点にできる方が冒険者の方にとっては利点だと思います。幸いに武器や鉱石の流通もあって、閉鎖的な国でもないですし、マンテノウス山脈を回るならドワーフほど山に精通している種族もいません。どうでしょうか?」


私もミーハーなので、ドワーフの王国は気になるなぁ。


「利点はわかったが注意点はあるか?遠回りで時間がかかるのは見ればわかるが、それだけじゃないだろ?」



リトの目が鋭く見つめる。


「それでこそ一流の冒険者ですね。私から注意できる懸念点は3つ。1つ目は、この街からは大半がポトムルートを通るので、詳細な情報は少ないので途中の街や村の詳細は不明です。2つ目は、シュダットの森はこの世界の三大エルフの里の1つが存在しています。彼らは閉鎖的かつ保守的なので、突然の訪問は歓迎されないので避けてください。3つ目は、イルバニア渓谷からのルートはポトムルートよりも険しく寒く短い。備えには注意してください。」



ひと通り話を聞いた私達は、お礼を言って冒険者ギルドを後にした。



近くにある食堂で昼食をとりながら、今後の話をする。食堂はいたってシンプルなメニューが多く、マッシュポテトとステーキ、炒めた野菜が付け合わせで出てきた。


「左回するのはいいが、情報が少ないな。左回する時点でウィンデンガルデ領から外れるからだと思うが。」


「黄金の道に向かう馬車ならあるって行ってたから、行く先々で聞いて回るしかないのかな。」


うーん、マッシュポテトの塩味がきつい。



「所要時間もわからねぇから、やっぱり馬を買うか。ゆりの収納もあるし、馬車よりは馬単体の方が山道も考えた時には小回り効くしな。」


「私、馬とか乗ったことないけど大丈夫かな?」


動物園は好きだけど、乗馬はしたことないんだよね。


「短期間で慣れるのは難しいだろうから、大きめの馬にして、全員で乗るのが無難だな。この後少し見に行ってみるか。」

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