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熊の爪と若夫婦 side リアス

冒険者ランクEの『熊の爪』。



それがリアスこと、熊の爪のリーダーである俺が率いる冒険者チームだ。



チームとしては冒険者ギルドの中でも中堅どころ。決して高くも低くもない地位で、冒険者稼業で生計が立てられる、冒険者の数としても最も多いランクに属している。



チーム名の由来は、俺が熊人と人のハーフであり、普段は隠しているが頭に熊耳があること、主たる武器が鉄爪であることからきている。


一番長い付き合いなのは、女戦士であるタルメアと、弓と魔法を万能に使えるハーフエルフのミレーナだ。2人が絡まれているところを助けて以来、チームとして行動している。


残りのチームメイトであるコトルキンとシリウスは人間(ヒューマン)で、コトルキンは巨体で守備にも攻撃にも優れているチームの馬力だ。シリウスは土魔法の使い手であり、鉱山出身なので簡単な鍛治スキルを持っている。



全員が生きる術として、この冒険者稼業についていて、依頼を受けながら転々と旅を続けている状況だ。



今回も、乗り合い馬車の護衛も兼ねて、ソヨンの街に移動することになった。



乗り合い馬車の旅は、乗り合わせる乗客によって様々な出会いがある。



冒険者としてはじめて経験したこととしては、その馬車に赤ん坊が乗っていること、そしてその赤ん坊の両親が冒険者であることだ。


世間一般の常識として、冒険者でも子供が出来たらどこかに定住するのが普通だ。常識的に考えて、子連れの旅は危険が伴うからだ。そのため乗り合い馬車に赤ん坊連れで乗り込むこともレアだ。


そしてこの両親が若い。特に母親は顔立ちがまだ十代前半なのではと思わせるほどに童顔だ。


父親も挨拶をしてみて、若いながらにしっかりとはしているという印象は受けるが、側から見たら子連れの無謀な旅をする若い夫婦という印象は消えない。



そんな意味で、かなり他の乗客からも注目を浴びるこの夫婦は、一緒に過ごすほどに規格外だとわかった。


まずは、息子も含めたその整った容姿。


赤ん坊が可愛いのは種族違えど共通事項だが、両親の美男美女具合も凄い。


父親は冒険者から見てもバランスのとれた男らしい身体つきで、無駄がない。男らしいがどこか愛敬もあり、万人からイケメンと称されるだろう甘いマスク。年齢問わずにカッコいいといわれるだろう。


冒険者ランクとしても、俺らと同じEランク。母親は駆け出しみたいだが、少なくとも父親は冒険者としての経験値は高い。


現に見張りの提案や馬車の護衛のローテーションなんかも話がスムーズだ。



馬車が出発してからの魔物との戦いを見て、実力に至っては同じ冒険者ランクEにいないこともわかった。何か理由があってEランクなのかもしれないが、強さを見る限りは只者じゃない。


母親の従魔だという白狐もそうだ。


白狐ってだけで伝説上の魔物だと思われるくらい珍しいのだが、平然と連れているのでこちらが間違っている錯覚にも陥る。実際に白狐が幼いので無害に見えることも、溶け込んでいる証拠だろう。



そして、母親は可愛い。可愛いし料理が美味い。



それだけで、馬車の男性陣の心を掴むには充分だった。人妻なのが惜しいところだが。


何の色眼鏡もなく、今までの旅で一番美味いのではという料理を食べることができ、なぜか翌日は雨にもかかわらず身体の調子も良かった。



そして、可愛くて幼さも残る顔に似合わない身体つきの良さ。そこから先の妄想は旦那の目が怖くて出来ないが、かなり守りたくなるような女性であることは確かだ。


最初の無茶な印象から変わって、今では乗客全員が若夫婦家族に好印象を持っている。あの気難しいことで有名なトニーノさんが気に入っているのも大きい。



彼らの旅の目的はわからないが、まずは安全にソヨンに着くことを目標として、残りの馬車の旅を楽しもう。



雨の降る夜に、見張り番をしながら、リアスは思った。







翌朝、昨日と打って変わって朝日が森を照らしている。乗客達も次々と起き出したようだ。



コトルキンに見張りの終わりを告げに行くと、なぜかコトルキンと若夫婦の旦那が手合わせをしていた。



コトルキンは他の冒険者と比べても怪力で知られている。そのコトルキンの怪力と軽々と対抗している男に、朝から度肝を抜かれる。



「2人とも力強いね〜。勇人も大きくなって強くなるんだよ。」



「あーい!」



その光景をほんわかと見ている母子。





チームの団員に注意する気も失せて、俺も可愛い奥さんが欲しいなと真剣に考えるのであった。

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