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オニングラタンスープと買い出し

ぺしぺし。


顎を小さな手が叩く。



「んー。」


手の主である小さな身体が、胸元にいるのを確認して、ぎゅっと抱きしめる。



「まんまー。」


そのまま自分を呼ぶ勇人のふわふわの頬っぺたにキスをする。




ふと、いつもは感じる腕の温もりがないことに気づく。


見渡すと、いつもはまるまっている白いもこもこ、イナリもいない。



「2人でトレーニングに行ったのかな?」


「あーい!」



今日は食堂はおやすみだ。


特に誰かに起こされることもなく寝ていたみたいだ。


「私もせっかくだし、身体動かそうかな。勇人も行く?」


「あうー。」



身支度を整えて、下に降りる。


食堂の裏手にある小さな庭で、リトとイナリが朝から組手をしている。



さすがに小さなスペースで大剣を振り回す訳にはいかないので、リトもイナリも素手だ。イナリは元々武器はないけど。


ある程度の時間は経っているのか、陽の光に2人の汗がキラキラと輝く。




「ぱんぱー!ねー!」



勇人の叫び声で2人の動きがピタッと止まる。



途端に2人とも地面に座り込んだ。



「おはよ。2人とも凄い汗だよ。いつからやってたの?」


思わず自分用に持ってきた汗拭きを渡す。



「あー…。始めた時は日は昇ってなかったかな。」


「でちゅね。」


どれだけ体力あるんだ2人とも。



「とりあえず2人は水分とって休憩ね。私も少しトレーニングする。」




それから勇人を預けて私もトレーニングをして、みんなで朝食を食べた。




旅路の食事はあまり凝ったものは出来ないので、今日は朝から豪華メニューだ。


オニングラタンスープ、蒸しムチムチ鶏のサラダ、黒パンだ。


オニングラタンスープにもパンは入っているけど、食いしん坊なリトとイナリでは足りないと思うのでパンを添える。


レタスやキュリ、トマトの上に蒸しムチムチ鶏を乗せて、炒めたオニンに酢、砂糖、オイルを混ぜた特製ドレッシングをかけている。


オニンが無理なイナリには塩胡椒を振っている。



「まー。」


「ん?私にくれるの?ありがとー。」



わしっと手づかみした蒸しムチムチ鶏を差し出してくる勇人。手がオニンドレッシングでベトベトだ。



そのまま食べさせてもらって、なぜか対抗意識?を燃やしたリトやイナリも交えて、みんなで食べさせ合いながら朝食を終えた。





今日はメインは買い出しなので、全員で街中を歩く。



日用品を手に入れたら、私の希望してた薬草屋さんへ入る。


昨日の採取で、たくさんの薬草が取れたのだけど、どうしても作ってみたいものがあって、その材料は手に入らなかったので寄って貰っているのだ。



薬草屋は、イメージするなら漢方屋さん。様々な薬草が陶器のツボや麻袋に入って売られている。


おじいさんがカウンターに座っているので、早速目当てのものがあるか尋ねた。



「すいません。こちらに蜜蝋とホホバオイルは置いてませんか?」


眼鏡をかけ直して私を見ると、ゆっくりと答えてくれる。


「量はないがあるから少しお待ちよお嬢さん。」



そう言ってお店の奥へと姿を消した。


「あうー。」


「勇人!触っちゃ、めっだよ。」



興味津々で手を伸ばす勇人を薬草から遠ざける。



しばらく格闘していると、おじいさんが商品を持ってきてくれた。



この世界はまだ透明の瓶は出回ってないらしく、陶器の瓶にそれぞれ入っている。


中身を確認していく。蜜蝋もホホバオイルも不純物がまだ混じってるけど、浄化(ピュリフィケーション)の魔法で何とかなるレベルだ。


「これ買います。あと、水蒸気蒸留装置とかってありますか?」


「薬草術師かと思ったったら、錬金術もやるのかい?水蒸気蒸留装置なら錬金術の道具として売られてるよ。」



そう言って近くの錬金術のお店を教えてくれた。




「錬金術まで持ち出して何するんだ?」


リトから怪訝な表情で尋ねられる。


う、かなり私的なものだから言いづらいなぁ。



「出来てからのお楽しみってことにさせて?」




お目当ての小型の水蒸気蒸留装置はすぐに手に入れることが出来た。



その後は、市場で食料を調達する。薬草として採れたハーブ類や狩でとれた肉類は除いて、空間収納と保冷袋に入れるものを考えながら購入する。


日持ちする根菜類を中心とした野菜、消毒かつ調味料になるニンニク、ネギ、生姜などの薬味、料理に欠かせない塩、胡椒、蜂蜜、油なども購入する。砂糖は高いので蜂蜜で代用だ。


あとは主食になる堅パンとかなんだけど…堅いパンって飽きそうなんだよね。


調理のできる環境じゃないかもしれないので、堅パンは堅パンで購入して、主食になる小麦粉も購入する。



ん?



「あの、ちなみにこの穀物って何ですか?」



小麦粉や乾燥豆の隣に、他の穀物も見つけたのだ。残念ながら日本の白米はなさそうだけど。



「ここらの地域じゃ家畜用の餌にしてる穀物だよ。名前は左から、きび、あわ、ヒエ、大麦、大豆、米だね。他の地域じゃ人が主食にしたりもしてるよ。」



もちろん日本人な私は、最後の米に反応した。ただ、そこにあるのはお馴染みのジャポニカ米じゃなくて、表すならタイ米のような細いお米だ。


それでもパンばかりよりはよくなるよね。


ということで、紹介してもらった穀物をすべてお買い上げ。小麦粉より断然安いし、組み合わせて炊けば雑穀米になるもんね。



いつかジャポニカ米に出会いたい。




その後は、リンの実、オランの実、ブドの実などの果物、日持ちしそうなチーズを何種類か、ドライフルーツも数種類購入した。


さらに卵、牛乳、赤・白ワインと水を購入。水は道中で確保することを基本とするので最低限。その他は料理にも使えるし、牛乳は栄養があるので勇人やイナリ用に確保して空間収納に入れるつもりだ。



買った食料は、市場から離れた路地裏で必要なものを空間収納にしまう。



「本当に便利だよな。空間収納。」


リトも私が覚えた日から、空間収納に挑戦しているけど未だに出来ていない。


「リトもできたら私の立場がないでしょ。私に空間収納は任せて!」


その他は力のあるリトが保冷袋に入れて運んでくれた。これで必要な買い出しは完了した。



よし、帰ったら旅の準備だ!

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