ブーツと依頼
「ゆーととおそろでちゅ♪」
イナリがベストを手に入れてご機嫌だ。見てるこっちまで嬉しくなる。
くまさん勇人も捨てがたかったけど、さすがにもこもこの着ぐるみは昼間は暑いので脱がせた。
「まーーーーーうあーーーーー!」
どうやらくまさん着ぐるみが気に入ったらしく、勇人は脱がせてからずっとこんな調子で泣いている。
気に入ってくれるのはいいんだけど、ひとまずブーツを探してるから泣き止んで欲しい。すごく目立ってる。
「ゆ、う、と〜。なきやーんでー。」
トントンあやすけど効果なし。
試しにリトに代わって貰っても効果なし。
イナリが目の前で尻尾ふりふりしても…
「あうー。」
効果は抜群だ。
イナリは気分も絶好調にコンッと高らかに鳴いた。
「女性の冒険者の方には、この辺りのブーツがいいでしょうね。」
冒険者の靴を専門にしているお店に来ている。冒険者服と同様に、様々な素材で出来たものがあるらしい。
靴1つでも奥が深いね。
長く履くためにオーダーメイドで作ることも多いそうだが、時間がかかるらしいので既製品で探す。
リトも履き潰しているので新調するそうだ。
冒険者の靴の選び方は、動きやすいこと、丈夫であること、防水機能がしっかりしていることだそうだ。
ブーツ丈もショートブーツから太ももまでの長さのもの、それぞれに種類があって、見るからに丈夫そうな金属製やプレートが仕込まれていて攻撃にも使えるもの、様々な耐性がついたものまである。
駆け出し冒険者で、体力がない私なので防御力よりも動きやすさを重視することにした。
ここでもプロのオススメに従いながら、試しに履いては歩いたり走ったりしてみる。
最終的にダークブラウンの膝下までの長さがある、レースアップタイプのブーツにした。レースアップの方がフィット感があって走りやすかったからだ。
リトも同じくらいの丈の、黒のプレート入りのブーツ。たまに攻撃にも使うので、プレート入りの方がいいそうだ。
イナリもベストを手に入れたから、もう武器や防具はいいらしいので、買い物を終えて冒険者ギルドへ向かう。
冒険者ギルドの掲示板には、様々な依頼が貼り出されている。その中から、2つの依頼を選び出して、受付まで持っていく。
1つは採取系の依頼。ポーションの材料になる薬草の採取依頼だ。基本的にポーションは冒険者ならよく購入する道具なので、その材料も常に需要がある。
私も採取で一度取ったこともあるので、この依頼を受けることにした。
2つ目は食肉になる魔物の討伐依頼。こちらは商業ギルドから常に依頼の絶えないものだ。数は狩った数に見合う対価が貰えて、魔物の種類も指定されている。旅立つ際の保存食用にも余分に狩ることになった。
対象の魔物は5種類。ニードルラビット、ビックボア、ブルーブル、ムチムチ鳥、ブラックゴートだ。
金額の確認や注意事項を聞いて、冒険者ギルドを後にする。
「緊張するなー。」
生死がかかってるから、不安もある。
勇人もすっぽり外套の中に入れて、ぎゅっと抱き締める。
不安がる私の頭を撫でるリト。
「基本的には俺とイナリが戦うし、俺たち2人からしたら格下の魔物ばっかりだ。安心しろとは言わないが、不安がらなくてもいい。」
まず、今回は私のレベル上げも兼ねている。イナリが私の従魔なので、必然的にイナリの経験値は私の経験値にもなるらしい。
さらに、リトともパーティ登録しているので、リトが倒した魔物については、私と勇人もパーティの仲間として倒したことになるらしい。
「それでも、数が多かったりしたら守りきれない可能性もある。ゆりも戦うことや何より防御を想定して、勇人を抱きながらも杖は構えといてくれ。」
「わかった。」
「あとは、戦闘時はなるべく俺とイナリの間、もしくは背後にいること。危ないと思ったら叫ぶこと。」
コクコクと頷く。
「ひとまずはそれくらいかな。あとは状況に応じて決めよう。」
本当におんぶに抱っこ状態だな。
「リト、イナリ。」
2人に声をかけると、振り返ってくれる。
「まだ力にはなれないけど、帰ったら美味しいお肉料理作るから、頑張ろうね!」
私は私に出来ることを全力でやるのみ。
2人は嬉しそうに笑ってくれた。
いざ、依頼へ出発!!!




