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絵本と不安

「あうー!きゃうー!!」


勇人がきゃっきゃと喜ぶ。



「ふぅんぬ!うー!」


唸り声をあげながら、勇人を抱えて腹筋する私。


「きゃーう!」


どこの体育会系な部活のトレーニングだよ!と思わず突っ込みたくなる。

普通に勇人抱いてるだけでも重いんだけど!


「あーう!」


このトレーニング続けてたら、普通に6パック出来そうなんだけど!?


現在私は引きこもり継続中で、勇人と一緒に筋トレをしてる。



リトからは筋トレしたり、本読んだり、筋トレしたりを交互に繰り返すように指示された。


その方が筋肉を傷めて休めての繰り返しになるからいいそうだ。


必要なことだし、愛あるムチなのはわかるから頑張ろうと思うけど…これが恋人になったばかりのカップルの行動なのだろうか?


「きゃーい!」



…勇人が楽しそうだからいい気もしてきた。私も大概親バカだよね。


リトとイナリは街の外へお出かけ中。

まずはお互いの戦いっぷりを確認するべく、2人でちょっくら魔物を狩ってくるそうだ。



私も足手まといにならないように頑張らなきゃ。



一通りの筋トレ第一弾を終えて、ソファで休憩する。


「まーあー!」


ん?


机の上に置いてある本を勇人が触ろうと手を伸ばしてる。


危ない。落ちるよ勇人。


ちょうど本を読もうと思ってたから、勇人にも読ませてあげよう。せっかくだから勇人のために借りた絵本にしようかな。



『勇者と竜の騎士』





…これってリトが話してた英雄の話だよね?

偶然にしては凄すぎる。



思わず膝の上の勇人を見つめる。この子の勇者パワーで引きつけたのかな。


とりあえずは読み聞かせ。



「昔々あるところに…」


出だしも内容もよくあるお話。



祖国を魔王に支配された騎士が、お告げを聞いて誕生した勇者と出会い、祖国を助けるために仲間を集める。


人種の垣根を超えて、エルフ、ドワーフ、獣人や小人、九尾の妖狐やユニコーンやドラゴンなどの魔物を仲間にしていく。


物語の途中で出会った姫君と竜騎士は恋に落ちて、共に戦う仲間になる。


魔王との戦いには、旅の途中で出会った道具が大活躍。


真実を移す魔鏡で正体を暴かれた魔王に対して、果敢にも戦うが、一度全滅しかける。姫が精霊の指輪によって精霊達を呼び出し、精霊の力を借りて月の杖を使う。魔王が弱った隙に仲間で黄金のりんごを分け合うことで復活。勇者が復活の角笛をふき鳴らし、九尾の妖狐、ドラゴン、ユニコーンによる一斉攻撃。弱った魔物に勇者と竜の騎士がとどめをさした。


崩れゆく魔王城から天の羽衣で脱出し、勝利の虹を虹の石で生み出す。


荒れ果てた大地には、人魚の涙の祝福が降り注ぎ、自然豊かな素晴らしい土地が蘇った。


こうして魔王を倒した勇者達は、その豊かな土地で平和に幸せに暮らしましたとさ。


めでたしめでたし。


確かに昨日リトが言ってた探しものが全て登場している。



登場する道具や魔物が凄すぎて、勇者や竜の騎士が霞んでるよね。




途中はわたしが話に引き込まれて、一気に読み終えたけど、いつの間にか勇人はくーくーと夢の中。寝顔が可愛い。




物語だけど、リトの祖国が魔王に乗っ取られてたり、リトと勇人が出会ったり、九尾じゃないけどイナリと出会ったり、偶然だけど物語に似てる展開だよね。


私を除いては。


一瞬、物語の中で姫が出てきたときに、まさか私!?とか思ったけど、可憐で心優しい金髪の姫君で、人々を癒す神の巫女と呼ばれる。



金髪な時点で私じゃないから。


ちょっと不安なんだけど。もしかしてリトが金髪の姫君に恋に落ちるの…


ひとまず私には、金髪の姫君注意!てことが心に刻まれた。仲間になるのはありがたいよ。最終的に魔王を倒すために必要な仲間だもの。


でもリトは渡さないもん。



そっと勇人をベットに降ろす。



だめだなー私。

絵本を読んで不安になってしまった。金髪の女性にトラウマを持ちそうなくらいだ。



もし、リトの気持ちが変わってしまっても。

もし、私がリトの追い求める物語に必要じゃないとしても。



「私がみんなを守るよ。物語に黒髪の女子高生を加えてみせる。」



そうして筋トレを再開した。




リトとイナリが戻ってきて、リトは朝と違って少し気分の落ちている私を気にかけてくれたけど、今は仕事をしに降りて行った。


「ととさまとたくさんてきをたおしたのでしゅ!いなりとととさまはつよいのでしゅ!」


イナリがぴょこぴょこ飛び跳ねながら報告してくれた。


素材は冒険者ギルドで換金して、数も多かったので魔物肉は解体してもらってるそうだ。


この世界は基本的には魔物肉を食べる。感覚としては魔物と動物がイコールな感じだ。


今日はすぐに捌けた鶏肉をお土産に、シンシアさん達に渡したらしく、大変喜ばれて食堂で使う分以外はディナーとして出してくれるらしい。


うん、夕食が楽しみだ。


「ははさまはげんきないのでしゅ。つかれたのでちゅか?」


イナリにまで心配させてしまった。


「筋トレ頑張りすぎたのかも!今日はこれくらいにしとこうかな。」



勇人も起きたので、2人をお風呂に入れて、遊び回る2人を見守る。


癒されるな〜。



眺めてたら眠くなってきた。

少しだけ…



そうして私はすぐに眠りに落ちた。

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