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従魔登録とシャワー

イナリの鑑定も済んだところで、薬草術の講習は終わり。


もちろん学んだ知識は生かします。薬草辞典も頑張って読んで、旅を便利に安全にするのだ。


おトキさんから、薬草術はどこの街でも出来る人がいるから、教えてもらってスキルをあげるといいと最後に教わって、退室する。


最後にこの街を出る前にもう一度鑑定してもらう約束だけして別れた。




そして、薬草術の実習で従魔になったイナリを登録しに行く。


私が従魔登録は初めてだと伝えると、受付の人に少し待つように言われた。諸注意等いろいろな都合があるらしい。


今日はママの日なのか、私にべったりな勇人と、従魔登録をする都合で私の膝の上に移ってきたイナリ。


膝の上で1人と1匹がじゃれあってる。

自分の想像力の乏しさを痛感した。


可愛いすぎる光景だ。


イナリのふわふわ尻尾を抱き締める勇人。そんな勇人のぷっくらほっぺをペロリと舐めるイナリ。


鼻血出るかも。


仲良く出来そうで何よりだね。



「さらに賑やかになりそうだな。」


そう言って苦笑いするリト。



と、そこへ大きな身体のおじさんが登場した。


赤髪で髭面。筋骨隆々で頬に切り傷がある。

いかにも強そうなおじさんだ。


「待たせてすまん。俺はこの街の冒険者ギルドのマスターで、ロジウスと言う。魔物使い(テイマー)でもあるから、講師と従魔登録の立会いもさせてもらってる。」


なんと1番偉い人が出てきた。

見た目強面だけど、物腰が柔らかい。


「はじめまして。ゆりです。冒険者になったばかりですがよろしくお願いします。今日はこの子を従魔登録したいんです。」


そう言って膝の上のイナリに視線を向ける。


「ここじゃ、ちょっと情報がオープン過ぎる。俺の部屋まで着いてきてくれるか?」


そう言って着いてくるよう案内される。


私は勇人を抱いて、その側をイナリがトコトコ歩いて、後ろからリトが着いてくる形で向かう。


案内されたのは、学校で言う校長室のような部屋だ。書類が高く積まれた机の前に、来客で使うための向かい合わせのソファとテーブルが置いてある。


ギルドマスターが腰掛けて、向かいに私とリトが腰掛ける。今度はイナリはリトの膝の上だ。



「まず、従魔登録すると言うことだが、その子の鑑定は済んでるか?」


「先ほどおトキさんに鑑定してもらいました。」


そう言って、イナリのステータスが書いた紙を渡す。


ロジウスさんは紙を受け取って、読み始める。たまにチラリとイナリを見るが、当のイナリはくつろぎモードだ。耳の後ろを脚でかいたりしてる。なんか品定めされてる感じだ。


「ホワイトフォックスか。また珍しい種の魔物を連れているな。しかもかなり幼い。」


ロジウスさんがステータスの紙を置く。


「で、嬢ちゃんは冒険者登録したばかりと。しかも若いのに赤ん坊連れてるのか。」


そう言ってなぜかリトを見る。



「いろいろと事情があるんだろうから、とやかく言うつもりはない。しかし、俺も冒険者ギルドをまとめる立場から言わせてもらう。覚悟がないならすぐにその子を追い払え。」


むむ。なんか貶されてる?

チラリとリトを見る。どうやら今回はリトは傍観に徹するようだ。


あくまで私の従魔登録だもんね。


「ちゃんと覚悟はあります。」


真っ直ぐにロジウスさんを見つめて答える。


「確かに冒険者になって日も浅いですし、まだまだ魔物と闘うにも私自身足りてない部分が大きいです。この子も守らなきゃいけないし。」


そう言って勇人をさらにぎゅっと抱き締める。


「冒険者として生きていく為にも、イナリの力が必要なんです。」



しばらく沈黙が流れる。


イナリも何か言いたそうにもぞもぞしてるけど、イナリとは事前に人の言葉を喋れることを内密にするよう約束してる。


人の言葉を喋れる魔物、しかも友好的であれば冒険者ギルドとして引き取られる可能性もあり得るからだ。渡さないけど。


「決意は固いってことか。俺は何事もないことを祈る他ねぇな。」


そう言って、書類の積まれた机に向かい、ペンと一枚の紙を持ってきた。


「これが従魔登録の申請書類だ。俺の権限で、その子を嬢ちゃんの従魔として認めよう。」


その前にと、前置きしてロジウスさんは続ける。


「従魔登録するには、いくつかの決まりを守って貰う必要がある。」


そう言って、登録用紙の先頭の箇条書きを指差す。


「ひとつ。従魔の意思を尊重すること。たまに従魔を奴隷のように扱う輩がいる。あくまで信頼関係のもと、従魔として付き従う意思のある魔物だけ登録の対象になる。


ふたつ。従魔の犯した罪は主人が受けること。もし、従魔が街で人を襲ったりした場合は、主人は罰せられて、従魔も従魔登録を取り消される。最悪の場合は処刑されるから、きちんと面倒をみてくれ。


みっつ。従魔に印をつけること。従魔も種類が多いから、決まった印がある訳じゃない。ただ、野生の魔物とは違うと示せるように、あとは従魔が拐われたりしたときに、首輪などタグを付けて主人を示せるようにしてほしい。特に街中では必須だ。


そして最後に、後継人を登録すること。冒険者やってる限り、主人が命を落とす可能性も高い。その場合の従魔の引受人を指定して貰う。これは嬢ちゃんの旦那でもいいし、引受人がいなければ冒険者ギルドを指定してもいい。その代わり、引受人に従うように魔法契約で書面に起こして貰う。


これで全部だ。質問はあるか?」


特にないので、登録用紙に記入をしていく。


少しだけリトと相談して、後継人は勇人にさせて貰った。勇人の方が若いし、私より先に死なせる気はないからね。


こうして無事に従魔契約が完了した。



とりあえず急ぎで、帰り道に赤いリボンを購入。

従魔って分かるようにとのことなので、今度ちゃんとしたものを買うからってことで、仮で付けてもらうことにした。


白のふわふわに赤いリボンが可愛い。



食堂に戻ったら、シンシアさんに事情説明。衛生面の問題で、イナリを連れているときは裏口を使うこと、食堂にいるときは部屋から出さないことを条件に許しを貰った。


本当にいい人でよかった。



リトは昨日と同じく買い出しへ。

私は勇人とイナリと部屋に戻った。


「はぁ。疲れたー。」


今日は採取もしたし、頭も使ったし、疲れたよ。


「とりあえずシャワー浴びよう。イナリも汚れてるだろうから一緒に浴びよう?勇人もね。」


「わたくちもいっしょにいいのでしゅか?」


「ん?いいよ全然。一緒に入っちゃおう。」


そう言って、勇人の服を脱がして、私も服を脱いだ。イナリのリボンも濡れないように外してあげる。


この世界、電気とか科学は発達してないけど、魔石という便利なもののおかげでシャワーも浴びれたりする。


お湯を張った桶に勇人を入れて、まずは自分を洗う。念のため、イナリに勇人を見ていてもらう。


「あうあうあー!」


シャワー室は少し音が反響するので、勇人もご機嫌だ。


「ははさま、わたしもゆーとのようにおゆにつかりたいのでしゅ。」


そうリクエストするイナリ。たしかもう一つ桶が…あった。


お湯を溜めた桶をイナリに差し出す。お湯に入る前に身体の汚れを少し落としてあげる。


桶に入ると、顔を綻ばすイナリ。


わたしも湯船に浸かりたいよう。





さっと洗い終わると、嫌がる勇人を洗う。

途中でイナリの尻尾に勇人が夢中になって、その間に洗い終えることができた。イナリが疲れ果ててたけど。


3人でシャワーからあがって、まずは勇人とイナリをタオルでごしごし。


そのまま勇人に服を着せて、自分はとりあえずタオル一枚巻いた状態で、勇人とイナリを抱いてベットへ移動する。


基本的に土足の文化だから、勇人を床に置くとまた汚れちゃうんだよね。イナリは勇人を見てて貰うからついでだ。


2人をベットへ降ろすと、勇人はイナリの尻尾を追いかけ回す。もふもふふわふわだもんね、イナリの尻尾。気持ちはわかるよ。


少しそのまま1人と1匹を眺めてると、トントンとノックの音。そして「ゆり。」と呼ぶ低い声。


リトが夕食を持ってきてくれたみたいだ。


「はいはーい。」


手が塞がってるであろうリトのために扉を開ける。


「わりぃな…って、お前なんて格好してんだ!」


リトに思いっきり顔を背けられる。


あ、私タオル一枚だった。




すぐにシャワー室に戻って着替えてから部屋に戻る。ソファの上で、リトが勇人とイナリを抱っこしている。


「あの…リトごめんなさい。あとお待たせしました。」


見たくもないものを見せてしまったからね。謝らないと。


「いや、むしろこっちが謝るくらいなんだが…俺以外には絶対に気をつけろよ。」まだ耳を赤くしたまま注意された。


それからは夕食。イナリも加わったから、夕食はやはり全員で食べれるようにシンシアさんが気を遣ってくれたみたいだ。


イナリ用には、前にリトが倒したうさぎ肉の残りを焼いたものを、勇人にはパンとビーフシチューのようなものを、私とリトの日替わりのディナーの他に用意してくれていた。


イナリは聞いたところ雑食だそうで、なんでも食べれるそうだ。今までは、肉か木の実を主食にしていたらしい。


「イナリもシャワーですっきりしたか?」


勇人にご飯を食べさせてる間、リトとイナリも仲よさそうに会話している。


「はいでしゅ!ははさまにたくさんごしごししてもらったのでしゅ。」


毛があるからよく泡立つもんだから、つい泡だて過ぎたんだよね。


「確かにさらに毛が白くなったな。」


そう、イナリは元が白いだけに汚れを落とすとすごく真っ白になったんだよね。


「イナリもうれしいのでしゅ。」


「こんだけ綺麗になると気持ちよかっただろ。」


「コンッ!あと、ははさまのおむねもきもちよかったでしゅ。ふわふわやわやわなのでしゅ。」


ちょっとイナリちゃん!?

何をおっしゃる!?


リトが食べる手を止めて…片手で目を覆って天を仰ぐ。


「あーの、えーっと。リト、なんかごめんね?」


とりあえず謝っておく。


謝るとギロリと睨まれる。うう、なんかよくわかんないけどごめんなさい。


「ぱんぱー!」


救世主勇人様によって、ひとまず場は救われた。


食べ終わると、今日は昨日よりも食堂が混んでいるらしく、先に寝てるように言ってリトは仕事に戻っていった。


勇人とイナリを寝かせるためにベットへ移動する。


イナリはくるんと丸まって、勇人は指を咥えて、それぞれベットに横になったらすぐにすやすやと寝息を立て始めた。2人とも疲れたんだろう。


イナリにとっては、久しぶりに安心して眠れる環境のはずだ。


しばらく2人を撫でてから、ソファへと移動する。


明日も朝早いけど、リトと少しお話したい。

今日あったこととか、イナリのこととか。


遅くなるかもしれないけど、薬草図鑑でも見ながら待っとこう。



ペラペラと薬草図鑑を読む。

それでも、思ったよりも疲れている身体の訴える睡魔に勝てなくて、図鑑を手にしたまま眠りに落ちてしまった。

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