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鑑定と薬草術初級

途中で少し道に迷って、道を聞いたりしたけど、なんとか冒険者ギルドにたどり着いた。


さすがに2.3回通っただけじゃ覚えられないよね。

方向音痴なめんなよ!


リトには変な心配をかけそうなので黙っておこう。


冒険者ギルドの講習受付で受付をする。カードを渡して確認がとれたら、奥の部屋に案内された。マメに講習を受ける冒険者は少ないので、大体がマンツーマン、多くて4〜5人だそうだ。


今日受ける講習である薬草術は、名前からして地味で人気がない。よって、私と講師の人のマンツーマンだ。


魔法や武術の講習がやはり人気らしい。




そんな薬草術の先生は…デジャブ。


初日に鑑定してもらったおトキさんでした。



「ふぉふぉふぉ。やはり面白い小娘だのう。薬草術を選んだセンスは褒めてやるよ。」


やはりババァに笑われる私。


「鑑定師と薬草術のかけもちとかありなの?」


「有能な人材は有効活用するもんじゃろ。わしは有能じゃからな。」


有能かはわからないけど、見た目はかなり物語に出てくる魔女なので、大鍋でグツグツと薬草を煎じてるイメージが想像出来る。


薬草術ってそういう系?


「それにしても、頭が働く旦那だねえ。もう鑑定対策をしとるのか。」


そっか。鑑定偽装のピアスしてるから、前よりおトキさんに見える情報が少なくなってるんだよね。


「鑑定って手に触れなくても出来るんですか?」


もしかして、何の前触れもなく人を鑑定出来ちゃうのかな。それって怖い。


「鑑定師のレベルによるの。ワシは鑑定師の中でも視ることを極めておる。触れなくてもステータスくらい隠れて読める。」


なにそれ。このババァこわい。


「普通ギルドにいる鑑定師はステータスを読むことに特化しておる。基本は仕事でステータス鑑定するだけだかは、触れずにステータスを読める人間は極まれじゃ。」


そういって、机の上に数種類の薬草を並べる。


「ワシはもともとは薬草術に秀でていた。道端の薬草が何か、効能は何かを鑑定してるうちに、薬草鑑定のスキルがついた。ついでに金になるからステータス鑑定もトレーニングを重ねて身についたから、総合的な鑑定スキルがアップして、触れなくても鑑定が出来るんじゃ。」


スキルって似たようなものを身につけると、効果が上がったらするんだ。いい事聞いた。


「占い師を目指したらしたら、未来予知まで出来たかもしれんが、流石にもう歳じゃし挑戦する気はせんがな。」


未来予知まで出来たら怖すぎる。本気で魔女になっちゃうよね。


そういう意味では鑑定スキルって便利だよね。


「鑑定スキルってどうやって習得するんですか?」


「ほぅ。鑑定に興味があるのかね?私の域に逹するのは難しいが、薬草術を学ぶものなら身につけておくと便利じゃ。薬草鑑定の習得方法なら教えられる。」


「ほんとですか!?習いたいです!」


きっと私の目はギラギラしてるのだろう。でも、習ってみたいよね。鑑定。



「薬草鑑定の習得方法は極めて簡単だ。目の前の薬草が何であるか、どんな効能があるかを当てる事。当たれば経験値として、薬草鑑定スキルを習得する下地になる。手っ取り早いのは、薬草図鑑を覚えろ。そして、その辺に生えている薬草を手当たり次第鑑定してあててみることじゃ。」


薬草鑑定の習得方法。

図鑑の丸暗記からの実践での積み重ね。なかなか体育会系な習得方法だ。


「薬草術の基礎は薬草を覚えること、そしてその効能を生かした道具や回復薬を作ることじゃ。講習の教材として、分厚いが薬草図鑑を渡すことになっておる。」


そう言って大きな図鑑を渡してくれた。


「さて、せっかくの講習じゃから、今日は3つの薬草を使ったアイテムを作る。しっかり覚えるんじゃよ。」


「お願いします!」


「さて、講習で作るのは3つ。1つはポーション。軽い傷程度なら治すことができて、冒険者の中では軽傷の手当てと疲労回復のために使われている。


2つ目は毒消し草、軽い毒なら症状を緩和出来る。完全に毒を消すことは出来ないので、解毒するには専用の毒消し薬を作る必要があるそうだ。


最後は、午後から実践を踏まえて近くの森に採取に行き、そこでとれた薬草によって何を作るか決めるそうだ。


薬草術の初級は薬草やそのほかの素材を覚えること。簡単なアイテムを使ってみることだ。上級になると複雑な調合の必要なものや、攻撃に使える危険なものを作ったりも出来るらしい。



薬草図鑑の見方を教わって、講習後はこの図鑑を元にスキルを高めることを強く勧められた。


あとは採取用の皮袋や陶器の瓶を借りた。採取には自前の短剣を使う。早速出番が来たようだ。


リトにお願いして皮袋だけでも買おうかな。


そうしておトキさんと一緒に近場の森へ出かける。いくら近場といっても、魔物が出る森なので警戒しながらもおトキさんの講習が始まる。


最初に迷い込んだ森とは違って、青みがかった不気味な感じの森だ。おトキさんが絵になる。毒キノコとかありそうだと呟いたら、あるとのことだ。


魔物のレベル自体は低いけど、採取するのに種類も多くて薬草採取に人気の森らしい。


あまり奥に行くと迷うらしいが、おトキさんは何十年も通うベテランらしいので、その心配は無用とのこと。私なら確実に迷子なんだろうな。


「薬草を見つけるポイントは、その薬草の適性に沿った場所を見つけること。例えばヌルヌル草なら水辺に、カワーク草なら乾燥した場所に生えていることが多い。」


名前だけでその薬草がどんな効能があるかはなんとなく理解。あえてわかりやすいものを例えてくれたみたいだけど。


「ポーションの材料は3つ、ヌルヌル草、キュイ草、リラクの実だ。キュイ草は陽の当たらない木の根元、リラクの実は背が低く赤い葉にオレンジの幹をもつ、リルルの木になっている。日当たりのいい場所を探すといい。」


図鑑を見ることなく、必要な材料の情報をすらすらと伝えられる。さすがはベテラン。


あとは毒消し草のための、キアル草とドヌキ草、他に道すがら見つけた素材で残りの1つを作る予定だ。



薬草採取をしていて思ったのは、地味に疲れる。


まだ魔物に慣れない私は森の中っていうだけで警戒心MAXだし、足元を見ながら、日当たりまで気にして対象の薬草が生えているところを探すのはなかなか一苦労だ。最初は遠足気分もあったけど、お昼休憩をする頃にはすぐに疲れが出てきてしまった。


お昼はシンシアさんお手製のサンドイッチ。おトキさんが夜営用の魔石コンロを持っていたのでお茶を沸かして飲みながら、まずは午前の評価を受ける。


「頭の弱い小娘かと思ってたが、案外頭が切れるの。一度伝えた内容はちゃんと覚えておるし、薬草を見つけるポイントも的確じゃ。基本的に採取が必要なのはあとはリラクの実だけじゃから、昼からは気楽に森の散歩をしながら薬草採取をするかの。」


「私ってもしかして優秀だったりします?」


ちょっと期待を込めて、目をキラキラさせて聞いてみる。


「調子に乗るんじゃないよ。全く向いてないって不安がなくなった程度じゃ。薬草の取り方もなっとらん。いきなり葉っぱだけを刈り取ろうとした時は殴るところじゃったよ。」


ふぉふぉふぉと怖いことを言うババァ。


確かに私が悪かったですよ。地面に生えてる薬草は、鮮度を保つ意味でも根っこから引っこ抜くのが常識らしい。


だって採取に短剣使うって聞いてたら、刈り取るのかと思うじゃないか。


刈り取るものもあるが、基本的には薬草周りの土をほぐして抜けやすくする為に使ったりが多いそうだ。


「午後からも小娘が行きたい方向に向かうとよい。道はワシが覚えとるからね。気ままに進みながら、道端にあるものを教えよう。気に入ったものは採取するとよい。」


「はーい。」


こうしてお昼休憩も過ぎて、再び薬草採取に旅立つことになった。

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