五右衛門風呂
お湯が出ない状況でルイのとった行動とは!?
そして、2人に新たなピンチが襲い掛かる!!
農業高校の優等生と美少女の訳あり農業ライフ、ぜひ気軽にご覧下さい!
「お風呂のお湯が出ません!!」
ーーーマリアのその言葉でルイは思い出す
この小屋にはなぜかガスが通っていない
電気、水道はあるのに、ガスだけである。
この小屋に来てすぐに風呂場を確認した時、バスタオルは1枚あったと思う
そしてシャンプー、リンス、ボディソープも揃っていた。
後はお湯さえ出ればお風呂に入ることができるのだが、、、
ーーーつーかなんだこの小屋は、、、
あるものとないものの共通点がまるでわからん
台所にも調理器具が揃ってたし、一応前に人がいた痕跡があることはあるが
住んでいたとするならば、布団や毛布などの寝具がない。
こんな山奥で防寒するものが何もなければ、
3日と持たずに凍え死ぬだろう。
それに何より、ガスがなければ暮らすことができない。
見ての通り調理もできなければお風呂にも入れないのである。
まあサバイバル生活をしろと言われれば話は別だが、、、
ーーーさて、そんな推察は一旦置いといて、話を戻すか
小屋の入り口で、マリアが不安そうな顔でこっちを見ている。
男ならば、一日やそこら風呂に入らなかった程度でどうこうなるという訳でもないが、
女の子となれば話は別であろう。
某人気アニメのし◯かちゃんがそれを身を以て証明している。
こう言った状況に陥ったからには、女の子をお風呂に入らせることが男の最大の役目と言っていいだろう。
ーーーまあ、焦らずとも考えはある。
最初にこの小屋に来た時、俺はあるものを見つけた。
恐らく先人も、これで凌いできたのだろう。
それとかまどがあれば、風呂に入れる。
だから早急にかまどを作ったのだ。
ーーーまあ、今の今までガスが止まっていることを忘れていたのだが、、、
「ちょっとまってて」
ルイはそう言うと、小屋の隣に転がっていたそれを引っ張りだし、マリアの前へと持ってきた。
「これを使えば、お風呂に入れるよ」
自信有り気にルイはそれを叩くと、
カンカン
と金属を叩いたような音がする。
そう、ルイが見つけてきたのはドラム缶である。
「五右衛門風呂を作ろう」
ルイのその言葉に、マリアは例の如く首を傾げた。
「五右衛門風呂って言うのは、かまどの上に
風呂釜を置いてお湯を沸かすタイプのお風呂
のことを言うんだ」
その説明に、マリアが目を輝かせて聞く。
「そんなお風呂があるんですね!すごいです!なぜ五右衛門風呂という名前なんですか?」
よくぞ聞いてくれましたとばかりに、ルイが説明を始める。
「天下の大泥棒、石川五右衛門が時の天下人
豊臣秀吉に釜茹での刑に処されたことが名前
の由来とされているんだ。
その罪状は、石川五右衛門の辞世の句、
〝石川や、浜の真砂は尽くるとも、世に盗人の 種は尽くまじ〟
まあ簡単に言えば「自分が死んでも泥棒はいなくならない」
という意味の辞世の句から盗みだとされて
いるけど、本当のとこは明らかになってない。
一説によると、五右衛門はお湯ではなく油で
揚げられたんじゃないかって話もあって、
秀吉が盗みだけでそこまでやるのは考え難い、何か他に罪があったんじゃないかって言われてる。
厳密に言うと上部の風呂桶部分が木製のものを五右衛門風呂、全て鋳鉄製のものを長州風呂って言って、
今回のは風呂釜にドラム缶を使ってるからドラム缶なんだ、
それからーーーーーー」
ペラペラと饒舌にまくし立てるルイの話を、熱心に頷きながら聞いているマリア
ーーーこれだけ俺の話を聞いてくれる子は初めてだ、、、
そう、俺は何を隠そう生粋の歴史ヲタクなのである。
そのため、話しだしたら今のように止まらなくなる。
ーーーどうか温かい目で見てほしい、、、
一通り説明を終えると、ルイはドラム缶をかまどの上に乗せ、同じく小屋のとなりに転がっていたバケツを手に取る
「じゃあ、バケツでここに水を入れよう」
「はい!」
マリアは元気よく頷くと、ルイからバケツを受け取り、タッタッタっと水を汲みに走って行く。
その後ろ姿を感慨深い表情で見つめるルイ。
ーーー俺の話を最後まで聴いてくれた、、、
なんていい子なんだ、、、
ルイは1人、そんなことを考えていた。
ザパァー
とバケツからドラム缶に水を入れると、ドラム缶の水はなみなみになった。
「終わりました!」
「よし、もうすのこは元々入ってるから、、、後はこの水があったまれば完成だ」
「楽しみです!」
五右衛門風呂の設置を終え、一息つくルイ。
ーーーこれでなんとか男の役目は果たせたか、、
すると、その後ろでマリアが何やらもぞもぞと動き始める。
ルイがマリアの方を振り返ると、
「どうし、、、、!!」
マリアはティーシャツを脱ごうとしていた。
そのティーシャツの下からは、真っ白い純白な肌が垣間見える。
「な、何してるんだよッ!」
速攻を目を背けると、ルイは童貞さながらの勢いで慌てながら言う。
「?もういけると思ったのですが、まだ早かったですか?」
純粋に疑問をぶつけるマリア。
「イキそうなのはこっち、、いやいやそうじゃなくて、着替える時は言って!俺がどっか行くから!」
「?なんでルイがどっか行くんですか?」
ーーーん?
どういうことだ?
この子は男に裸を見られることが嫌じゃないのか?
それとも今まで男だらけのむさい環境で育ってきた俺が童貞すぎるだけで、これが普通なのか?
、、、、いやいやいやいや!
普通な訳ない!普通な訳ない!
ルイはそう言い聞かせると、ダッシュで小屋の中へと走って行く。
そしてバスタオルを手に取り、ダッシュで戻ってきた。
「も、もうお湯になってると思うから、服脱いだらこれ巻いて入って!それじゃ!」
そう言ってバスタオルを手渡すと、小屋の中へと走って行く。
そのルイの様子を、マリアは首を傾げながら不思議そうに見つめていた。
小屋の中へ入り、体操座りをするルイ
ーーー落ち着け、、理性を保て、、
落ち着け、、理性を保て、、、
そうブツブツと呟いていると、外から声がする。
「ルイ!!」
その声に、ルイは窓からゆっくりと外の様子を除く。
すると、バスタオルを巻いたマリアがドラム缶の前であたふたしていた。
「どうやってこの中に入ればいいのでしょうか、、、」
ーーーそうだった、、!!
本来は脚立などで登って入るものだが、そんなものがこの山奥にあるはずがない、、
どうする、、考えろ、、、
そうしてしばらく頭を抱えたルイは、
やがて、悟り開いたように落ち着き払った表情で小屋から出てくる。
「俺がマリアを持ち上げて入れるしかないんだけど、大丈夫か?」
「はい!お願いします!」
そう言うとマリアは、両手をあげて万歳する。
そうしてがら空きになった脇に、ルイが後ろからゆっくりと手を伸ばす。
ーーー落ち着け。俺はこの子の兄貴だ
1人でお風呂に入れない妹を、抱っこして入れてあげるだけだ。
何もやましいことはない。
そう言い聞かせて、ルイはマリアの脇を掴み、マリアを持ち上げた。
むにゅ
手には、軽く豊満なマシュマロのような胸の感触が、、、
ーーーやばい、、
理性を保て、、、
俺はヤリチン、、、童貞じゃない、、、
こんな経験いくらでもある、女子の胸を揉むなんて朝飯前、、
俺はヤリチン、、、童貞じゃない、、、
そう呪文のように言い聞かせていると、
「あっ、、、、」
いけない声が聞こえてきた。
ーーーうぉおおおおお
やべぇええええええ
うぉおおおおおお
「ルイ、、ちょっとくすぐったいです、、!」
上目遣いでマリアがこちらを見てくる。
「す、すまん、、!!」
そう言って、急いでマリアをドラム缶の中へと入れる。
そしてゆっくりと手を離す。
「ふぁ〜、、、あったかいです、、」
ドラム缶からちょこんと顔を出したマリアは顔を火照らせてなんとも気持ちよさそうに呟いた。
「そ、それじゃあ、ゆっくり浸かっててくれ。俺は小屋ん中にいるから、、!」
そう言ってそそくさと小屋の中へと入っていくルイ。
ーーーフゥ
なんとか任務を遂行した
途中何度かイキそうにもなったが、、、危なかった、、、
すっかり神経をすり減らし、疲れ切ったルイは、壁へと寄りかかり、今日のことを振り返る。
ーーー色々あったが、なんとか1日を乗り切ったか。
それにしても、生活していくには足りないものが多すぎる。
服だってこれしかないし、農業をして行くにも、食物のタネがなければ始まらない。
さっきアリスがきたってことは、この近くに町がある可能性が高いし、
とりあえず明日にでも、町に降りてみる必要があるな、、、
そうすれば、アリスが言っていたこともわかるかもしれない。
ーーーもう昔と状況は変わりました。
くれぐれも、お気をつけて、、、
ルイは、アリスが去り際に言い放った一言を思い出す。
そんなことを考えながらウトウトしていると、
ごそごそごそ
何やら小屋の外から蠢く音がする。
マリアがお風呂から出たのかと思ったが、マリアのいる場所とは反対側から聞こえてくる。
「、、、なんだ?」
ルイは立ち上がると、窓から外を覗いた。
するとーーーーーー
「!!!!」
地面が生き物のように波打ち、動いている。
今にも何かが飛び出してきそうだ
ーーーーおいおいおいおい
まさかモンスターか!?
非常にやばいな、、、
今はマリアは風呂に入っていて、身動きが取れない
超人的な強さを見せたスウもさっき帰っちまった、、、
、、、、となるとーーーーーー
俺が闘うしかねぇじゃん!!!
突然訪れた何やら訳ありなピンチに、
ルイは初めて自ら剣を抜く
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回、その謎の蠢きの正体とは、、、!?
そして新たな事実が明らかに!
ぜひご覧下さい!