新たな真実はやっぱり訳あり?
3人に襲い掛かるピンチとは!?
そして、新たな真実が明らかに!!
農業高校の優等生と美少女の訳あり農業ライフ、
ぜひ気軽にご覧下さい!
第10話
「、、、いる、、」
「いますね、、」
何かの気配を感じ、戦闘態勢に入るマリアとスウ
ルイは全く状況が掴めていない。
2人はまるで数多の歴戦を勝ち抜いてきた名コンビの如く、背中を合わせて周囲を見渡す
しかし辺りはすっかり日が沈み、深淵に満ちていた。
「あっちからはこの火で確実にこっちが見えてるけど、私達からは全く見えない。大分不利な状況ね」
暗闇に深々と溶け込んだ森林が四方を囲み、
森閑とした静寂が、3人を包む。
その沈黙を破ったのはマリアだった。
「スウ、さっきの火の矢を、今から私が投げる石ころめがけて打ってください」
小声でそう囁かれたその言葉に、一瞬の疑問抱くスウだが、瞬時にその意図を理解し弓を構える。
それを確認したマリアは、足元の石を頭上に向かって思いっきり放り投げた。
シュバッ
瞬間スウの指から放たれた矢が、その石ころをめがけて一直線に飛んでいき、石を貫く、
と同時に
ボォオオオオウ
燃え盛る炎が一瞬ではあるが、深淵の闇に溶けた森林を照らし出した。
暗闇に目が慣れていたため、その眩しさに一瞬目が眩む。
ーーーーーただ1人を除いては
そして再び
真っ暗闇へと戻る。
すると、スウは背中にいるはずのマリアの姿がないことに気づく。
ガサガサッ
その時、前方の森の茂みから音がし、巨大なクマらしき生物が顔を出した。
しかしそれは明らかにクマよりでかい。
「!!」
スウはその生物に弓を向ける。
「、、、ギガングマか、、」
歯を食いしばり、戦闘態勢へと入るスウ
ーーーギガングマ!?
おいおいおいおい
どうなっちまうんだこれ
一応形だけ戦闘態勢に入るルイ。
ーーー次の瞬間
クマの後ろから見覚えのある人影が現れる。
よく見ると、ギガングマはもう既に、心臓の辺りを弓矢でピンポイントに貫かれて息をしていない。
その弓矢を手に持ったマリアが、ケロッとした顔でギガングマの体からひょっこり顔を出す。
「倒しました!」
笑顔でそう言うマリアに、2人は呆然とし、空いた口が塞がらなかった。
ーーー火炎矢が石を貫く前、マリアがスウに指示を出した直後から、マリアは目を瞑っていた。
ーーー真っ赤に燃え盛る炎が闇夜を照らしたあの瞬間が訪れる。
時間に直すと1秒にも満たないあの瞬間に、
スウとルイがその突然の眩しさに目が眩んでいる中、
ただ1人、マリアだけが閉じていた瞳を開けた。
そして瞬時にギガングマの位置を特定し、手に持った弓矢で急所を一指し
正に一瞬の出来事である。
これには流石のスウも、あんぐりな表情を浮かべていた。
急所を一指ししたギガングマを、マリアは2人の前へ運んでくる。
ーーーーうおっ
ほんとにもう死んでる、、、よな?
その迫力に、もう死んでいると分かっていても思わず体を仰け反ってしまう。
「ギガングマの毛皮は暖かいことで有名です!剥ぎ取っておきましょう!」
ーーー確かにそう言われると、毛皮がすごいもさもさしててあったかそうだな、、、
てかあんなに昼間は暑かったのに、夜になったら肌寒い、、、
どんな気候してんだよ、、、
そんなことを思いながら、ルイは腰の短剣で、恐る恐るギガングマの毛皮を剥いでいく。
テレテレッテレ〜
《ギガングマの毛皮を手に入れた》
日は完全に傾き、空気も深々と冷え切って、小屋には夜が訪れる。
ギガングマの件も落ち着き、マリアは先ほどの火竜の卵を持って、小屋の中へと入っていった。
ルイとスウは、2人でかまどを囲む。
「、、あの子、一体何者なの」
ーーーやっぱりその話になったか
ここはやんわり誤魔化すしかないな
「お、俺も今朝会ったばっかだから、よくわかんないんだよ。
で、でもやっぱ強いよな?」
「強いなんてもんじゃない、ギガングマ自体
はそこまで手こずるようなモンスターじゃ
ないけど、防御力が高いことから不死身グマ
なんて呼ばれてる。
その急所をあの暗闇の中の一瞬の光で、
的確につけるなんて、そうそういるもんじゃ
ないわ、、、」
ーーーふつうに倒してすげーと思っていたが、
そんなすごさが隠れていたとは。
確かにドラゴンとかより全然見た目的には弱そうだしな
「そ、そうだよな、、」
ルイはあたかも知っていたかのように、知ったかぶる。
「まあ、ルイもやろうと思えば簡単にできたと思うけど」
ーーーえ?俺もできんの?
俺そんなに強いの?
ルイが思わぬ言葉にあたふたしていると、スウが立ち上がって背伸びをしながら言う。
「ーーーん〜よし、これで安心してルイを任せられるかな〜、、、
じゃあ私は家のこともあるし、そろそろ帰るね」
ーーー家のこと?
少し気にはなるが、あまり首は突っ込まないでおくか
それで怪しまれたらやばいしな
「お、おう」
そう言ってルイは手を振る。
すると、スウは最後にこんなことを口にした。
「魔王を倒した私達には懸賞金がついてるんだから、くれぐれも気をつけてね」
「、、、え?」
それだけ言い残して、スウは森閑とした夜の森へ姿を消していく。
静寂の中で、夜風が木々を揺らす音だけが響いている。
ルイは、スウの最後の言葉を理解することができなかった。
ーーー懸賞金?
魔王を倒した?
頭の中が混乱する
だってあの娘はーーーーー
「ルイ!!」
その時、小屋の扉を開けて、マリアがルイの名前を叫ぶ。
「お風呂のお湯が出ません!!」
ーーーーはっ
忘れてたぁあああああああ
そういやここ、なぜか電気と水道はあるけどガスが通ってないんだった、、、
漠然とした疑問を考えるより、目先の問題を解決していくことの方が大事である。
ルイはそう自分に言い聞かせ、先ほどのスウの言葉を頭の片隅へと追いやった。
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