#壁
連載モノの合間に、短編を書いていたり、ふと、絵を描くかと思ったり。
忙しい日々が続きますが、私は所詮素人です。好きなことを好きなだけやる。共感した人は、私の作品を見て! っていう、お気楽家業です。
でも、なんか、それだけで、いいのかな、と。
主義主張を持ちすぎて、灰汁が強すぎる悪い性質の持ち主ゆえに、悩みも尽きないわけで。
前々から書いている通り、面白いことを考え、書いていくだけじゃなくて、そこにテーマがないと駄目だ、と言う信念に変わりはありません。問題は、それをどのような形で表現していくのか。そこなんですよ。
実は、コメディ(特に小説)が苦手です。
若い頃は、それはそれはコメディ、ギャグ、書きましたよ。だけど、どうも、面白いだけじゃ、つまらなくなってしまった自分がいる。
若いときは肉食だけど、年取ると、野菜や魚のほうが良くなるんだよ〜って、よく先輩が言いますけど、まさに、そういう状態なんです。多分、こってりしてるのよりも、噛めば噛むほど素材本来の味が楽しめる、和食傾向になるように、どんどん好みが変わっていってるんです。
私は少年誌と青年誌買っているのですが、少年誌は目当ての連載二、三本だけしか読まず、青年誌は殆ど全部に目を通してる。「あ、もしかして、少年向けじゃ満足しなくなってしまったのか」と、ようやく気づいたんですよ。
少年向けは面白い。でも、もっと面白いと思えるのは、青年誌。大人が読んで、面白いと感じるように編集されているのだから、私がそう感じるのは当たり前。
だけど、じゃ、どこが違うのか。
テーマが奥深い。
表現の幅がぐっと広がり、少年向けでは描かれない、残酷、残忍な場面、エロス、かけひき、その辺がたまらない。読む側にも、ある程度の知識、常識が求められるところがある。
私は、多分、一昨年位から、「青年向け」を意識して作品を仕上げてる。より、訴えたいこと、伝えたいことを作品に盛り込み、どうにかして、読後に「残り香」を与えるか。そればかり考えている。だから、気が付けば、説教臭くもあるし、泥臭かったり、遠まわしに世間を非難していたり。
誰にでも、同じように伝わって欲しい、そう願う。が、現実、そうはいかない。難しいところだ。
どんなに面白い話、展開を考えても、読者に「面白い、また、この人の作品が読みたい」と思わせなければ、実力不足ということになる。
小説は漫画とは違って、読み進めなければ、作品の傾向がわかりにくい。誰が、どんな人対象に書いたのか、なんて、簡単に判断できなかったりする。
だから、読者にわかりやすい題材で、より簡潔にテーマを見出させる必要がある。
市販のライトノベルのように、設定からとっつきやすく、読んでいて、テーマがはっきりしているもの……なんてのは、私には書けそうもない。だから、私の扱いやすい題材で攻めていく。そこには、「より読者が興味を持てるようにする配慮」が常に求められる。
実はそれが、一番難しい。
自分の言いたいこと、ちゃんと伝わってる? 「最初はためらったけど、読みすすめていくうちに好きになりました」と、たくさんの人に言ってもらえるようになるには、私はまだ、力量が不足しているんだろうなぁ。
いろんな人に感想や評価を戴くが、まだまだ、研鑽が必要なようだ。