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*数字の魔力

 WEBで掲載しているからには、辛口意見も甘んじて受けなければならない、ということは、以前の記事(感想とレスポンス)でも書きました。感想評価に対する、読者側の視点については、「案外、作者の人物像というものは見られています」ということを、「作者の人物像」に書いたとおりです。


 全体の纏めのようになるかもしれませんし、重複するかもしれませんが、納得するまで、この点については語ろうと思います。



 小説は、イラストや漫画と違って、読むのに時間がかかりますね。最初から映像で飛び込んでくる、というのは、かなりの利点です。インパクトがあります。ところが小説は、残念ながら、文章を読み、それを読者側が脳裏で映像化させる、という、二度手間を強いているわけです。したがって、文章を綴る作者側の力量が問われ、また、読者も同様に、読解力が求められます。漫画ばかり読みなれている若い世代などにとっては、とてもハードルが高いのが現状だと思います。

 そのハードルを、中高生レベルまで低くしたのが、ケータイ小説ではないかな、と、私は思っています。詩的かつ、簡略的言葉を羅列し、イメージ先行で、相手に訴えかけてくるのです。ストレートに、かつ、ドラマチックに。

 ……そうして、若年層に少しずつ浸透する、「小説を読む」「小説を書く」という行為。

 PCで小説を読む、というのとは少し違う進化を辿ったのですね。


 WEB小説(ケータイ小説を含む)に関わる作者・読者は二極化しているのではないでしょうか。

 単純に楽しみたい、読んでみたい、書いてみたいという、初心者と、どうせ書くならばきちんとした文章作法・形式で、書籍化できるような作品にしていきたいというプロ志望者。両者の軋轢が、垣間見えるのが、掲示板・評価欄というところです。


 前者、初心者の書き込みは、とても気さくで、更に甘々です。10段階評価で、即10を叩き出してくれるくらい寛大です。なんてったって、ハードルが低いのですから、「作品」として成り立っている、少しでも感銘を受けたと思えば、満点評価をドンとくれちゃうわけです。

 後者、プロ志望、玄人志向者ですが、かなり読み慣れ・書き慣れしているため、自分基準から見て、冷静な判断を下します。結果、初心者が「荒らし」と勘違いしてしまうような酷評が寄せられてしまう場合があるのです。


 このような構図をわかっていても、いざ、二者が同席する掲示板や批評欄を目撃すると、どちらの立場にたっているかによって、大分見方が変わってきます。


 甘い評価が悪いということではありません。かといって、厳しい評価が悪いということでもありません。

 様々な意見を持つ人間がこの世にいるのだということを、わかっていて、その感想・評価をみているのか、ということなのだろうと思います。


 どちらにしても、感想なり評価なりいただくことは、作者として大変名誉なことです。私なんぞ、過疎ジャンルですから、少しでも「面白い」と言われると図に乗ります。厳しい感想でも、「読んでくれた人がいた」というだけで、大喜びしてしまいます。

 アクセス数の多いサイト・作品だと、かなりの感想・評価が寄せられ、いちいち対応なんかしていられないのでしょうが……、やはり、何かしら反応があると言うのは、作者の更新に向けてのモチベーションにも繋がってきますからね。大切なことなんです。


 ですが、ここにランキングなるものが絡んでくると、なぜかしら、話が変わってきてしまう人たちがいます。

 「マンエンスル ジエン」と、「目立つためには何をやっても許されるのか」にも書きましたが、自演行為(アクセス数を稼ぐために、いくつもの端末からの自演クリック・自演コメント)や、ライバルへの攻撃(評価や評判を下げるため、匿名で誹謗中傷したり、掲示板・評価欄に低評価コメントを入れる)をする人たちが、出てくるのです。どこの世界でも、ある話ですから、こういうのを題材にひとつ、話を作れるんじゃないかと思うくらい、その手は巧妙で、汚いです。

 点数操作というのも、ありますね。自分に都合の悪い低評価だけ削除し、高評価のものは、生かす。こうすれば、点数の「伸び」は良いわけですから。

 サイトやランキングの形式にあわせた自演行為や他者への攻撃行為は、一向に収まりません。ワクチンとウイルスがいたちごっこをしているように、どんどん、巧妙化し、足が付きにくいため、制することも困難になってきているのです。


 「点数至上主義」というのは、受験戦争で言う、偏差値主義に似ています。人より秀でているという指標に「点数」「ランキング」を見立てているのです。私は、現在の大学と言うもののあり方に疑問を持っている人間ですから、はっきり言いますが、こういう思想は無意味です。順位をつける、ということに対しては文句はありませんが、「絶対視」する必要などないのです。

 大学に入るのが目的で、受験をする、その後の卒業〜就職、その後の人生に関しては無計画、と言う人がいます。人生のあり方を考えれば、終点は「死」であり、「大学合格」ではありませんね。このような考え方では、それから先、どのように生きていくかという指標が示されず、最悪ニートになってしまう。「大学合格」は通過点であるという認識が欠けているといえます。


 同じように、「ランキング上位になる」というのは、あくまでも通過点ではないのでしょうか。作品がランキングによってある程度評価されたとはいえ、その先にあるものへたどり着こうとしなければ、意味がない。ランキングは、読者が面白い作品を探すための「目安」です。読者の質がどのようなものかによって(初心者か、玄人か、プロ志望者か)変動する、「不確定なもの」なのです。

 ランキングを全て信用してしまうというのは、作者にとっても、読者にとっても、良いこととは言えません。

 たまたま、その時期、人気があった、というだけ。連載が頻繁だとか、今のニーズにあっているとか、丁度連載が終わったとか、作者が必死に広告を出していたのを見たとか。



 ランキングを否定するわけではないのですよ。だが、過信してはいけない。

 自分の作品が、読まれる、そして、誰かが感銘を受ける。それが楽しくて、話を書くのではないのですか?

 ランキング上位になるために、書いているのですか?

 点数が下がると、不安ですか?

 厳しい意見を、ただ荒らしと決め付けてはいませんか?


 様々な目が、様々な気持ちで、あなたの作品を、あなた自身を見ている。

「数字の魔力」に踊らされている、あなたの姿さえ、物陰から薄ら笑いながら見ているかもしれない。

 作品に自信があるならば、「数字」などに負けず、堂々としていればいいのです。そうすれば、自ずと読者も付いてきてくれると思いますよ。


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