☆テーマを盛り込む
何のために小説を書こうとするのか、どういうときに、書きたいと思うのか。
きっちり、自分の中で整理しないと、どんどん話がそれてきたりしませんか?
短編小説なんかだと、ここって決めたらそこだけ書けばいいからいいのかも知れない。──だなんて、高くくってると、酷い目にあいます。短い中で、どれだけの要素を盛り込み、どれだけ相手(読者)を納得させるかっていうことになると、案外難しいものなんですよ。
一応、短編も長編も書いてきたので、自分の経験ベースに書きますね。
私は、書きたい場面や台詞があって、そこからストーリーを展開させていく手法を取っているのですが、そうじゃなくて、書きたいシチュエーションだとか、世界観が先行している場合、特に、主張不足に陥りやすい気がします。元々、雰囲気で物語を構築しているので、極端に言うと、「だらだらしてしまう」恐れがあるんです。
創作活動って、結構、何かに共感して、いきなり「書きたい!」「作りたい!」っていう気持ちが湧き上がって、勢いでやっちゃうことがあるじゃないですか。私の経験上、それはかなり高い確率で失敗します。第一、なにがやりたいのかはっきりと決まっていないのに、どこを目指して進めばいいのかわからない。目的もなく突き進んだら、誰だって遭難しますよ。終着地があるからこそ、やり続けられるんじゃないんでしょうか。
初心者は往々にしてそういう状況に陥りやすいので要注意。せっかく書くんだったら、まず、メモをとるなりして、論点を整理するところから始めたほうがいいかもしれません。キャラクターや世界観、シナリオと同時に、これから書き始める物語の行き着く先、「主張」や、主人公、または重要人物に必ず喋らせたい「重要な台詞」を書き留めておくだけでも、随分違うと思うんですよ。
まずは、訴えたいこと、テーマを決め、それからシナリオを練っていく、または、シナリオを練るなかで、テーマを色濃くしていく。文章として書いてしまえば、「あたりまえじゃないか」といわれてしまうかもしれませんが、そういうのが一番大切なんですよね。
漫画だって小説だって、読んでいて面白いと思う作品には、何かしらテーマが眠ってる。直接的じゃなくても、作品全体を通して、作者のメッセージが盛り込まれている。
例えば、普段見ている漫画や小説、ドラマや映画のなかにどんな主張が盛り込まれているか、普段から意識して見てみるのはどうでしょう。30分の子供向けアニメ番組でさえ、起承転結の中に、主張がある。それがどんな些細なことであったとしても、主張、テーマのない作品と、ある作品では、受け取る側の印象は全くと言っていいほど、変わってくるのです。
惰性で書いている物語は、読んでいる方も苛々します。
「結局、何が言いたいわけ?」
だなんて、言われてみて下さい。悔しいですよ。
読者側も、時間をかけて読むからには、作品に何かしらの「感動」を求めているはずです。せっかくの貴重な時間、文字の羅列を与えられただけで、何も感じなかったとあっては、救われませんよね。
また、主張、テーマには必ずしも結論をつける必要はないと思います。
確実に「こうしなければならない」だなんてことは、世の中にはありません。「考えるきっかけ」としての作品だって、たくさんあります。
恋愛ものなどでは、「人を愛すること」について延々と綴られているわけですが、「恋愛の形」は、人によって様々です。シチュエーションによっては、「愛すること」が禁じられていたり、「愛すること」によって、誰かが傷つくことだってある。主人公ないし登場人物の選択肢は物語の通りだが、他にも方法があったのじゃないか、なんて、よく、恋愛ものを見た後には思いますね。それでいいんじゃないでしょうか。
結論はあえて出さない、あとは、読者が続きを考えてください、と言う方法も、ありです。
確実な答えのない問題に、無理に答えを用意するのは、かえって、不信を招きます。押し付けがましい、と、思われかねませんからね。
私としては、読了後、心に残らない話は嫌だなぁ。せめて、「アレはなんだったのか」「作者のメッセージが強烈に伝わってくる」話を書きたいなぁと思います。
別に、特別に知識のある人間ではないですし、発想もどちらかというと、貧困かも知れないですが、「私の書く話には、主張がある!」と胸を張って書けるようになっていきたいものです。