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30 炸裂!異世界流木刀切断剣!

俺の名は山口寿明。

色々あって異世界でスライムに生まれ変わり、自警団の人々をドン引きさせてしまった男だ。


「えっ…まだやるの?」みたいな二刀流おじさんだが、なんとか再戦して貰わねばならない。

このままみんなに変態クリーチャーとして認識されたままでは困るのだ!


「ピュッピュッ!!ピュッピュッ!!」

必死でフットワークを使って空パンチを繰り出し、おじさんに戦意をアピールしまくる俺。

「やれやれ…」みたいな感じで、何とか二刀流おじさんが乗ってきてくれた。

ありがとうございます。ありがとうございます。


折角チャンスを貰えたのだ。今度は本気の全力で掛かるぞ。

二刀流おじさんの攻撃は鋭すぎるので、さっきみたいに受けに回るとどうにもならない。

こちらから攻めて行くべきだろう。

俺が現時点で出来うる最強の技を繰り出すのだ。


二刀流おじさんが動き出す前に、俺は左触手で輪を作り、右触手の先を輪に引っかけた。

右触手の先は、出来るだけ細く刃のように鋭く。

左触手は、右の触手が飛び出さないように強く堅く。

両触手の先端に全ての意識を集中する。

そして両の触腕に限界まで力とゲルを圧縮し、ギリギリと引き絞る。

力を込めすぎた触腕が、まるで力こぶのようにモリリと盛り上がる。

俺の高まる気合いを察したのか、二刀流おじさんの顔からヤレヤレという表情が消えた。


「プヒュゥー…」

長く細く息を吐き、両の触手に全ての精神力を集中する。

この一撃に全てを掛けるのだ。

二刀流おじさんと俺は、互いにジワリとにじり寄り、間合いを詰める。

間合いに入った瞬間が勝負だ。ジワリジワリとお互いに間合いを計る。


緊張が支配する中、先に動いたのは二刀流おじさん。

俺の頭上から、鋭く速い一撃が迫る。さすが二刀流おじさん、目にも留まらぬ凄まじい剣閃!

【ここだ!】

だが俺も負けてはいなかった。

ここが極限までたわめた触腕を解き放つ瞬間。

【受けよ! これぞスラ眼流奥義!秘剣スラ流れよ!!!】

刃のように鋭く狙い澄ました俺の右ゲル触手が、閃光のように空を切り裂いた!

渾身の一撃でおじさんの木剣を弾き飛ばし、体勢が崩れた所にマシンガンスラブロウを叩き込む!

食らえ!これこそが俺の必勝の策だ!


シュガアッ!!!

だが触手が切り裂いたのは空だけではなかった。

なんと俺の触手は、二刀流おじさんの木剣も真っ二つに斬り飛ばしてしまったのだ。

【やり過ぎたコレ!直撃してたらおじさん死んでたかも知れないじゃんか!】

秘剣スラ流れはイメージしていたよりもずっと威力が高すぎた。

本物の☆流れみたいな威力じゃねーか!

剣狙っといて本当に良かった!危うく殺人者になる所だった!


…だが、人殺さなくて良かったーでは済まなかったのだ。

俺のスラ流れが木剣を切り裂いた瞬間、二刀流おじさんの目に鬼が宿った。

俺のゲルにゾッっと戦慄が走る。

あっ、あかん。これ死ぬタイプのイベや。

俺は全力で高速バックステップ逃げを敢行したが、時既に遅し。

ゾンッ!

【ひぎいぃ!!】

二刀流おじさん改め一刀流おじさんの異世界流木刀切断剣が炸裂!

バックステップした分、ほんのちょっとだけ切り残しが出たのでゲル容量半壊はしなかったが、俺のボディは綺麗に二つに切り裂かれた。

今はびらーんって胴体が半分に切れて、1センチくらいだけ繋がってる状態だ。胴体を通り抜ける風が涼しい。

やっぱりあったぞ異世界木刀切断剣。

一刀流おじさんの、先ほどとは明らかに異質な、殺意の籠もった文字通り目にも留まらぬ鋭い剣撃。

本当に見えないのだから躱すことも叶わない。

これはダメだね。俺はここで死ぬのか。

諦めて辞世の句を詠もうとした俺だが、一回ぶった切って気が済んだのか、一刀流おじさんは俺をみじん切りにはしなかった。


そもそも、先に殺すような攻撃を仕掛けたのはこっちだ。

木刀で試合だよ、って言ってんのに突然真剣で斬りつけた、みたいな話だからな。

どう考えても俺が悪い。殺されても文句は言えない状態だ。

威力も分からない必殺技をいきなり使うべきではなかった。

ふざけたつもりでも人は死ぬんですよ! みんなも人に向かって☆流れはダメ!絶対!


【見逃してくださってありがとうございます。すいませんでした。すいませんでした。】

意味が伝わるのかは分からんが、とにかく触手を地についてひたすらにドゲザで謝意を表す。

何を言っているのかは分からんが、「まぁいいわ」みたいな雰囲気は感じたので一応通じたのだろうか。

何とかおじさんは許してくれたようだ。

【ありがたやありがたや…。なむなむ。】

二刀流おじさんの心の広さに感銘を受けた俺は、ピュルピュルと触手を合わせて拝んでおいた。


【マジで怖かったぜ…。異世界バトルはもうこりごり…。】

もう二度と訓練には着いて来ないぞ。俺は固く誓った。

二刀流おじさんはマイ木剣が切れたので帰ってしまった。本当に申し訳ありません。

殺人訓練から解放された俺は、訓練が終わるまで隅っこでマッタリと巨乳様を眺めて過ごした。

うーん。動く巨乳様もまたやはり素晴らしいね。大きさは正義。いいね?


昼になって訓練は解散となった。

このまま巨乳様の後を付けようかなと思ったが、二刀流おじさんにぶっ殺されかけてドゲザした後では流石に恥ずかしい。

俺は子ども達と戯れる為に邪教の館に向かうことにしたのだった。

子ども達と遊んで陰惨な訓練の疲れから癒されるぞ!


やっと訓練の話が終わりました。ザコ人間と二刀流おじさんを出したかっただけなのに何故こんなに長く…。


感想やポイント、本当にありがとうございます。嬉しゅうございます。

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