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19 掴め!子ども達の心!

俺の名は山口寿明。

色々あって異世界でスライムに生まれ変わり、ママさん達のハートをガッチリ掴んだ男だ。


ダークエルフ村の入り口でダークジジイに足止めを喰らってって途方に暮れていると、ダークジジイの住処と思われた邪教の館から子供達が走り出してきた。

それぞれの家に帰っていくのか、蜘蛛の子を散らすようにバラバラに走り去っていく。

ひょっとしてあそこ、ダークジジイの住処ではなく、学校だったのだろうか。

なかなかアバンギャルドな学校だな…。

子供の何人かは、キャーキャー言いながらダークジジイの方に走ってくる。

よし!ダークジジイを突破するにはコレだ!


「ピュピューィ!ピュッピュー♪」

子供達の方に、楽しいスライムだよーと触手を振り振りしてアピールした。

ダークジジイは俺の思惑に気付いたのか、バッと俺に手のひらを向ける!

途端にピリッと軽い痛みが走る。

「ピー!!ピピピピッ!!」

【おい!何すんの!痛いだろ!】

シュッシュッとシャドー触手パンチと怒りの口笛で威嚇する俺。

ダークジジイはビックリしたような顔をしているが、ビックリしたのはこっちだよ。まったく。

何なんだよ、その地味な魔法みたいなの。


ジジイに地味な嫌がらせを受けている内に、子供達がやってきた。

言葉は全然分からないけど、子供のリアクションは大体どの世界でも同じだ。

このへんではスライムは珍しいのだろう。

俺を見て大興奮でキャーキャー言っている。

ダークジジイは止めようとするが、もう俺の触手は揉みくちゃですよ。

触手でナデナデしたり、卑猥に震動させたりとサービスを繰り出しながら、ピーピーと喜びの口笛を吹き鳴らす俺。

ダークジジイは諦めたのか、邪教の館に歩み去っていった。やっぱりお前の拠点だったのかよ。

つーかひょっとしてダークジジイ教師だったりすんのか?

嫌な先生だな…。


ダークジジイが去っても、子供達の熱狂は収まるところを知らない。

たまにエキサイトしすぎて木の枝で殴りかかってくるガキもしたが、触手でそっと木の枝を取り上げてポイしてあしらった。

そしたら走って木の枝取ってきてまた持ってくるので、いつの間にか俺が投げた枝を全員で取り合う謎の遊びが自然発生したり、子供の内の誰かが持ってきた革のボールみたいなので謎の蹴鞠めいた遊びが始まったりした。

言葉は図らないが、お互い何となくの感情やニュアンスは通じるものだ。

異世界に来て初めて、時間も忘れて、とても楽しい時間を過ごせた。


村の広場で時間を忘れて子供達と遊び続けていると、チラホラと子供達が帰り始めた。

【そっか、もう夕食の時間か。じゃあまた明日な。】

俺はフイフイと触手を振って別れの挨拶をして、有名童謡の七つの子を口笛で吹きながら、子供達を送り出した。


さて、子供達は家に帰るから良いとして、俺は一体何処に帰れば…?

一応村への出入りは叶ったし、今日一日で俺が無害な知的生物であることはアピール出来たはずだ。

もうダークジジイに追い出されることもないと思いたいが…。

さてどうしようか。

最悪は森に帰ってまた明日来るとして、一回村の中で野宿出来そうな場所でも探してみるか?

自意識過剰かも知れないが、村人が俺を見る目が痛いぜ。

生前の日本で、浮浪者さん達は日常こんな感じで暮らしていたんだろうか。メンタル強いな。


村をウロウロしていると、向こうの方から救いの神が洗われた。

【巨乳様だ!巨乳様がお出でになったぞ!】

狩りの帰りの様で、ドッヂボール位のでっかい山鳩?みたいな鳥を持ってらっしゃる。

「ピュキーピュキー!」

【おかえりなさいませ おかえりなさいませ!】

俺の歓迎の舞をみて、滅茶苦茶不審そうにしておられる。

そっか、俺が村に出入り可能になったことを知らないんだよな。


【悪いスライムじゃないですよー 村にも入れるようになったんですよー】

ピュキピュキと口笛で説明してみるが、通じないよね。当たり前だな。

とりあえず足下にすり寄ってスリスリしようとしたが、素早いバックステップで回避された。


だが甘い。青かった時は振り切られたが、赤くなってスピードが三倍になった俺はその程度では振り切れん。

全速で巨乳様の足下に突っ込みながら素早く左右にフェイントを入れ、巨乳様の左サイドへ鋭く飛び込む!

まさかのフェイントに虚を突かれる巨乳様。

貰ったぁ!このタイミングなら避けれまい!


「ピュピー♪」スリスリ

決まった!渾身の愛されアタック!

洗濯ママさんや子供達を骨抜きにした荒技が炸裂した。

これで巨乳様も俺の愛らしさに気付いて態度が軟化するはず。

そして出来れば俺を連れ帰ってペットにして欲しい!


だが巨乳様は鳩を捨ててダッシュで離脱していかれた。

【なぜえぇぇぇぇ!?】

とりあえず鳩が勿体ないので触手で持ち上げて、巨乳様を追った。

巨乳様は邪教の館に駆け込んで行かれた…。

ここに入るのは流石に根性が要るぜ。何で玄関口にガーゴイル飾ってあるんだよ。

うーん、どうしよ。

流石にここに住んでるとは思えないし、入り口で待ってたら出てくるかなぁ。


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