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奴隷転生者の花唄  作者: 雨宮 海
奴隷生活
12/85

奴隷異世界人、察する。

 遅くなりまして申し訳ありません!

「──ったく、ほんとふざけんなよマジで……ゲール・エナ・ミクロ・トルネード」


 びゅおおおおお、とレネンの足元から風がおこった。みるみるうちに彼女の体は乾いていき、やがて風が収まる。


「ごめんってば。悪気はなかったの」

「はぁ、もーいいよ。乾いたし。

それよりお前さ、詠唱してたか? さっき」


 あ。私が"フロ"って唱えたときはまだ、イーリス様の魔法が解けてなかったよな。ってことは、あっちからすれば私がいきなり水をぶっかけたように見えるのか。げげげ、これは参ったぞ。また誤魔化し術が試される時がやってきてしまった……。


「え? ああ、ちっちゃく言ってたよ」


 ぽけぇっとした表情を浮かべ、しらばっくれた。ヤベェ。これ、じゃあ詠唱今してみろよって言われたら完璧に詰みだわ。ツンだ、デレない。……ちょっと意味合い違うけど。


「ふーん。よく小さい声で詠唱できっな、お前。まぁとにかく水魔法は使えるみたいだからな、まずまずってとこじゃないか」


 ふぅ、よかった。あんまり深く聞かれなかった。でも、なんとかして本当の詠唱を聞いておかないとまずいかな……。あ、その時だけイーリス様呼んで、何とかしてもらおうかな。そうだ、そうしよう。


「じゃー、明日から特訓だからな。覚悟しとけよ」

「え、奴隷の仕事は? どうするの?」


 さすがにみんなでないのは、まずいのでは? いきなり4人も消えたら、看守も気づいちゃうよ。

 私がそう呟くと、レネンは はあっとため息をつく。


「お前なぁ。そのためのリヒトの光人形だろ? 昼間にリヒトに光人形出してもらって、そんで俺らは作戦たてんだよ。まあ、こいつの光人形の数に限りがあるから、誰か一人はでることになるけどな」

「あっ、なるほど」

「ぼくのまほう、役に立つー?」

「おう、バンバン使うからな」

「やったぁ!」


 リヒトが万歳して牢屋を駆け回ると、レネンは勝ち誇ったような笑みを浮かべて胸を反らした。


「ふふん、さすが俺様だろ。これに気づくなんて天才だな」

「でも、そのこと考えたのは、シルトおにーちゃ……モガ」

「ばばばばばばっか! それは秘密だって言っただろ!?」


 ガバッとリヒトの口を押さえた。なーんだ、シルトが考えてたのか。シルトの方が頭脳派っぽいよね。ミステリー小説に出てくる名探偵みたいな。まあ、外見はいかついけど。不意にシルトを見ると、胡座をかいて欠伸を浮かべている。んー……なんてマイペース。


「おほんっ……ま、まあとにかく、お前には水魔法であることをしてもらう」

「えっと、なにするの? 回復なら多分大丈夫だけど……」

「ああ、えっと……。あー、どうすりゃいい? シルト」


 結局シルトに聞くんかいっ!


「俺に振るなよ……。まあ、水魔法は回復特化だけど、それ以外にもやれることはあるだろ……」

「ほかにできること?」

「例えばだけどな……。えぇと、石みたいなのねーかな。……いいや、魔法で。エダフォース・ペトラ・スキエァリー」


 シルトが呪文を唱え、手を胸の前で合わせた。すると、手のひらから尖ったものが現れた。なんだろこれ、土の塊? かな。それを鉛筆のように握ると、地面に何やら図を書きだした。


「ほら、水を自由に操れるんだからさ──仮に、体の回りに壁みたいに覆うとするだろ……。こんな風に……」


 地面に棒人間と、その回りに着ぐるみのような囲いが描かれる。何て言うか……そう! 殺人現場とかに書かれる、あれ。みたいな感じだ。


「で、この水の反射を上手く操れるようになれば俺らの姿が見えなくなるだろ……」


 な、なるほど! そんなこと考えもつかなかったや。要するに、透明人間みたいになれるってことだよね。おおっ、なんて心踊る魔法なんだろ! 魔法って、なんでもできてすごく便利だよね。某眼鏡少年の世界の気分になって、すごく楽しいな。


「まあこれは歴代の有名な魔法使いがやった術だからな、別に知ってて特別なことではないさ……」


 へぇ~。でも、レネンは知らなかったんだから、やっぱりシルトは物知りだね。さっすが! と私が褒めると、レネンがボソボソと呟いた。


「そ、そんなの俺だって知ってたぜっ」

「嘘つけ……。村の書物、お前が読んでなかったことぐらい知ってる……。お見通しだ……」

「げっ! マジかよっ」


 シルトが少し顔を綻ばせ、ふっと笑う。──おっと、これはまさかのストロベリータイム、ではなかろうか? きっと2人とも両想いなんだろうなー。私がレネンを見て笑うと、少し頬を染めてそっぽを向いた。ふふ、お似合いで見てて微笑ましい。少し男勝りな女子と、冷静な男子……どこの少女漫画ですか、こそばゆいっ! っていうか、これじゃ私ボッチじゃん、がっくし。まあ現世でも非リアだったし。別に悲しくなんか、ないもん……。


「と、とにかくっ。お前にはこの術を会得してもらうからな! 次のチャンスが現れるまで」

「え、それ本当にやるの!? げー……」

「うだうだ言うなっ! こっから出たけりゃやれ!」


 うう、なんて強引な。でも、イーリス様の力なら大丈夫だよね。早く習得して頑張らなくちゃ!


 前の話にも書きましたが、雨宮海やっとTwitterを始めましたっ!

 ぜひフォローしてやってください。この小説読んでフォローしたとか言って下さったら猛烈なテンションで喜びますので←

 垢→Amamiya_Umi

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