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第九十九回

 先に口を開いたのは直助である。丼を二つ卓に並べ、その返す足で湯呑みを二つ取りに戻る。それも置いて、袋麺を箱から出し、殺風景な卓上へと置く。そしてまたも台所に引き返し、急須へお茶っ葉を入れる。薬缶がシュンシュンと味わいのある音を奏で始めると、ふたを取って沸き具合をじっと見る。沸いた湯を急須へ注ぎ、急須ともう片方の手に薬缶を持って卓へ行く。こういう直助の一連の動作には気も留めず、勢一つぁんは放置された昨日の新聞を氷のように固定した姿勢で読みふけっている。二人とも各自の動作をやっているが、心のうちは実のところ、まったく同じで、ともに一枚の白い紙のことを考えていた。

 インスタントラーメンは至極、助かる。一人暮らしの直助は、某メーカーのこれを箱で買っておき、時折り、惣菜に困ったときに利用していた。そんなこともあってか、ラーメンを食べるまでの動作は素早い。ズルズルと喉を通過させると、直助は少し空腹感も和らいで気分が落ちついた。勢一つぁんも朝からのラーメンは珍しいのか、満足げな表情を浮かべている。白い一枚の紙で会話が途絶えた閉塞感は、もう消え去っていた。

「…なんかあるのは分かった…」

 ラーメンを食い終え、茶を啜りながら冷静さを装うように勢一つぁんが呟く。聞く態で、それには答えず、無言で直助も茶を啜る。

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