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第九十七回

 もちろん、文字はけてにじんでいるところもあるから、キッチリと鮮明に書かれたものではなかったが…。

 直助の手が小刻みに震えている。ゾ~~っとする寒けを伴う感覚が直助の身の中を引いては寄せ、寄せては引く。そんな彼の現状など、まったく知らぬげに、呑気な勢一つぁんはまだ高鼾いびきをあげ、眠りこけていた。勢一つぁんを起こそうと思っていた直助だったが、もうすっかり気持が動転し、そんなことは忘れてしまっていた。疾うに七時を回っている。そうなのだ、六時に起きた直助だったが、小一時間も茫然と時を過ごしてしまっていたのである。なんのことはない、こんな不思議にも馬鹿げたことなどあろう筈がない…と自らに言い聞かせ、一時間を無為に過ごしてしまったのだ。

 勢一つぁんがモゾッと動いて起きだしたのは、丁度その時だった。

「あああ…、よう寝たわ。あっ! もうこんな時間かいな。直さん、おはようさん」

 寝惚け目を擦りながら大欠伸をひとつ打ち、起き上がると直助の方へ寄る。直助はすっかり自失状態だから、勢一つぁんに返事もしない。

「どないぞ、したんか?」

 怪訝な表情を浮かべて、勢一つぁんは棒立ちする直助を窺った。

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