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第八十五回

「もうちょい、後からかけるわ…」

 電話の前まで行って急に思いとどまった直助を見て、怪訝に思う勢一つぁんである。

「すぐ戻るで、出るなら言うてや…」

 直助の横顔に声をかけ、「おかあ、ちょっと畑へ行ってくるわ」と敏江さんにも振り向きざまに呼びかけて、勢一つぁんは店を出ていった。八百勢は半分ほどを自前の畑で収穫する。採れたてのものが直ぐ店頭に並ぶ訳だから、その点では鮮度が極端にいい。しかも中間マージンを取られないから値段が格安となる。こんな店が都会にあれば大いに繁盛するに違いない…と直助には思える。だが、この幹線道路から外れてしまった今の商店街で客足を増やすのは至難の業に近かった。会長の小山の返事が梨のつぶてで、いっこうに前進する気配がないというのも頷ける話だった。月日は刻々と移ろうが、コレといった解決策はまだ見出せない状況だった。長閑さの裏には、商売の繁盛が見えないというジレンマが存在するが、今のところ商店会連中は互いに助け合い、なんとか生計を維持している。ある意味、━ 貧しいながらも楽しい我が家 ━ 的で平和なのかも知れない…と、直助には思えた。小さな幸せ感があるから、幽霊話にも皆がうつつを抜かしてくれる訳である。

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