表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/125

第七十一回

昼間の雨は嘘のように上がっていた。辺りは秋寒で、すっかり暗い。

 丸八食堂から文照堂までは直線距離にして二百メートルほどある。トボトボ帰る道すがら、辺りの暗さもあってか、直助の不安感は少しずつ増していた。昼の明るさの中では考えられないことである。、いつもは僅かな距離なので、さほど遠いとは思えないが、今日に限っては妙に足が重く、歩けど歩けどその距離が縮まらないように感じられた。それに、なぜかゾクッ! と、背筋が寒かった。それでも、ようやく八百勢と文照堂の間に立つ電信柱の街灯が見えたときには、フッ! と安堵の溜息が漏れた。40Wの薄寒い明るさだが、直助の心が平静に戻るには十分過ぎた。

 店は当然ながら暗闇である。店へ入った直助はバタバタと急ぎ足で慌しく動いて、いつもはともさない電灯をつけ、家の中を灯光で満たした。そうして、やっと落ちついたのか、居間へと上がり、ドッカと畳へ腰を下ろした。

 物音一つしないのは、やはり余計に居心地を悪くする。一人暮らしには馴れている直助だが、今までとは何かが違うように思え、妙な圧迫感にさいなまれた。そのときである。

━ ジリリーン、ジリリリ-ン ━

 旧ダイヤル式の黒電話が、けたたましく鳴り響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ