表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/125

第六十九回

八田は差し出された名刺に目を通して、しばし沈黙した。

「人事の係長か…。あながち、嘘言うとるとも思えんなあ…。そうなると、ちょっと、怖いな」

 直助は、ただ頷いた。

「そんで、飯方々、繁さんとこへ来たっちゅう訳や」

「なるほどなあ…。こら、何とかせな、あかんな。とはうても、どうしたらええんかいな。急なこって、よう分からん」

「頼むで、考えてや。なんせ、話は今晩もまた起こるかも知れんよってな」

「そやな、さし迫っとんにゃったな。そうゆうことなら…」

 八田は両腕を組み、思案顔になる。直助も頬杖をついて考え始めた。二人が思案しているのを無視するかのように、嫁の照代さんが丸八食堂の暖簾を取り入れに表へ出た。小声で、「…なんや? この人らは!」と、愚痴ってるのだが、思案に暮れている二人には聞こえない。ついには、照代さんが奥へ消えたのも気づかぬ有様なのだ。照代さんは愛想笑いして前を通ったが、完璧に無視されて、幾らかお冠だ。顔が怒っている。奥の居間でテレビをつけると、煎餅をバリバリ齧って鬱憤を晴らし始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ