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第六十一回

いつもの店番用の椅子に座り、直助は、また先の見えない作家への道を励んだ。数枚前から読み返さないと筋書きさえ覚束おぼつかなく、すっかり忘れてしまっている。いつの間にか、書くことが慣性となった倦怠感さえ漂っている。これでは少しずつ年老いて朽ちていくのを待つようなものだ。奮起一番、店を畳み、どこか遠くで別の人生を歩もうか…とも漠然と思うが、それも、はっきりとした明確な形が見えず、ままならなかった。だから直助は、とにかくこうして、原稿に向かうしかなかった。

 三十分ほど筆を握っているうちに、激しく叩きつけていた雨が小降りへと変化している。ただ、相変わらず外は薄暗く、秋ゆえか、すでに夕闇の気配さえ漂い始めた。直助は筆を置くと、大きな欠伸をひとつして席を立った。今日は久しぶりに外食でもしてみるか…と思い立った。そんな金があったか? と、そのすぐあと思い直したとき、上手くしたもので、数日前に送金されてきた金があった。母の実家からのものだが、その現金封筒には、母の供養にとつらつら、書かれていた。ということで、直助にしては久しぶりに纏まった金が懐にある。そうはいっても数万円だから、これはもう今後の生活を考えると当然ながら慎重に使わねばならない資金の一部となる。だが、気分としては、一時的にしろ潤った、余裕のような心境だった。

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