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第三十三回

いずれにしろ、都会生活なら少なからず侘しいが、地方のことである。市街化が進み、辺りには都会を彷彿とさせる建物も見られるようになったとはいえ、まだまだローカル色が豊かな直助の界隈であった。

「勢一つぁん、いやはるか?」

 いることは分かっているが、一応は紋切型の挨拶めいた言葉を吐く。

「なんやいな、直さんやないか。どないぞしたんか? こんな朝、早うに…。びっくりするがな!」

 敏江さんは朝飯の支度をしている真っ最中だった。ということは、亭主の勢一つぁんは、まだぐっすり寝ているのだろう…と直助は思えた。

「いやな、ちょっと、勢一つぁんに話したいことが出来てな。まだ寝てはるにゃろな?」

「うちの? ああ、ぐっすりなんやわ。なんやったら今、起こそか?」

「いや、ええ、ええ…。そう急ぎの用でもないしな」

「そうか? まあ、お茶でも飲んで待ってえな。そのうち、起きてくるやろ」

「すんません…」

 いつもの馴れ合いの会話が弾み、直助は狭い四畳半の敷居へ腰を下ろした。

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