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第三十二回

 ガバッ! と布団を跳ねのけて上半身を起こし、直助は後ろを振り返った。蒼白い光の中に一人の女が正座し、じっと直助を見つめている。あまりの怖ろしさに、直助はヒェー! と絶叫し、布団を頭から被っていた。…これは夢だと自分に言い聞かせるが、ゾクッと寒気もして、体が自然と震えだしていた。五分という時が直助の身体を凍らせていた。そして、その五分の後、被った布団の隙から、枕を置いた前方を恐る恐る窺った。しかしそこに広がる空間は暗闇ばかりで、つい今し方、垣間見た青白い光の女は消え失せていた。やはり、自分の妄想が招いた幻だったか…と、直助は安堵と同時に、ぐったりした。━ こら、あかん…。明日あしたは勢一つぁんに相談してみなあかん…━ と決め、直助は、また凍ったように微動せず、眠ろうと努めた。

 白々と朝が明けた。昨夜の不気味さが嘘のように清々(すがすが)しい朝である。寝起きてすぐに隣の戸を叩くのも憚られるから、直助は取り敢えず朝飯を食らうことにした。腕をおもむろに見ると、六時を回った頃である。六時なら敏江さんはもう起きているだろうが、話が話だけに、やはりここは、ひと呼吸おいた方がよさそうだ…と直助は直に思った。茶漬けを漬けもの、それに唯一の栄養源である貰いものの卵を一ヶ、焼いて朝食とした。卵かけ御飯なら申し分ないのだが、生憎、味の主役の醤油が底をついていたのだ。

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