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第三回

手には結構な紙幣が握られていて、眼鏡越しに楽しんで数える父親の姿を幾度となく見たものだった。それが、今のご時勢はどうだ。晩に口にするものといえば、香のもので我慢しよう…などと思っている始末なのだ。このギャップは、どうして起こったんだ…と直助は腹立たしかった。幸い、トラウマに陥るほどヤワじゃないが、このままだとそのうち日干しになってしまう…と、体力面への懸念が鬱積している。どのように気持を若く維持したところで、しっかりと老いの迫る年なんだし、栄養失調でぶっ倒れたなんて音沙汰は、ご近所様にも、こっぱずかしくって、合わせる顔がない。そんな些細ことで、もう店を畳もうと直助は思っていた。

 親の代を引き継いだとき、直助は三十を少しばかり越えていた。直吉が中風で寝たきりになったという事情もあるが、世間並の大学を出たあと、気分が萎えていたから就職するということもなく、世間体が余りよくなかったというせいもある。まあこれで、世間様に、どうのこうのと言われる心配もないだろうと、フウーっとひと息、嘆息した。そんな日々の繰り返しに、つくづく意気地のない男だと自己嫌悪に陥った。それ迄は、今でいうフリーターやニートなどと呼ばれる存在の日々を、当時としては肩身の狭い想いで過ごした。

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