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第二回

「今日も二人しか来いへんなあ…」

 一人の男は千二百円+消費税の単行本を一冊、そして、もう一人の学生が辺りをコソコソと盗み見しながら、素早くエロ本を一冊、買っていったぐらいなのだ。それに、その売上全てというのが儲けか? と考えれば、とんでもない話で、その中のほんの僅かなのである。首でもくくりたいというほどのもので、収益⇔利益の違いが厳然としてあった。

 この男、地方ではそれなりに老舗の文照堂の一人息子に生まれ、これという不自由もなく凡々と育ってきた。親の跡を継ごうなどという殊勝な気持もなく、そうかといってやりたいこともなかった。結果、気づけば本屋となり、この椅子へ座っていた。古びたこの椅子も、疾うにあちこちと破れ、俄か修理のガムテープの貼り接ぎが十数ヶ所に及ぶ骨董だった。だが直助には、なぜかこの椅子が愛おしく、捨てられずにいた。子供の頃は親が座っていた椅子に、いつの日か自分も座るだろうと思いながら少年期を過ごした。娯楽が少なかった、ということもあるだろうが、父親の直吉がこの椅子に座っていた頃は随分と客が入っていたように思えた。事実、直助が学校から帰ってきたとき、笑みを浮かべながら、「お帰り…」と、直吉が迎えてくれたことを想い出す。

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