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第百二十一回

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 なぜ貴方に…と、お尋ねされた件について、今日はお答を致します。私が貴方のお店へ寄った折りのことは貴方ご自身もよくご存知のことと推察致します。実は、このようなことを私から申し上げるのは誠に口幅ったく恥かしい限りなのではございますが、今日は思い切って書き綴らせて戴くことに致しました。それはあたかも偶然、心に湧いた所業なのでございます。偶然…私が貴方にお会いせねば、何も起こらなかった…と、お思いなさって下さいまし。私は貴方にお会いした折りに一目で貴方に恋慕の情を抱いてしまったのでございます。それで、貴方のお店へ度々…。こうなったのは必然でございました。ただ、貴方に近づきたかったからでございます。しかし、父に纏わるお話は真実でございました。そして、康成の全集を求めていたことも…。実は、お買い求め致しました直後、私は病に倒れ、そのまま帰れぬ身となってしまったのです。身寄りとてなく、死の直前、私が貴方に記しましたお墓に埋葬願うよう、病院の方々に申し添えたのでございます。霊界に身を置きますと、貴方のことが、ただただ想い返され、ご迷惑を顧みず、枕元へ立ったのでございます。


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 その白紙に書かれていた裏面にも及ぶ長文は、直助が早智子より受け取った心情を吐露する初めての恋文であった。直助はその白紙にしたためられた文面を読み終え、枕元へ置いた。早智子の文字に違いはなかった…それは、店で注文票に早智子が書いた文字で知れていた。

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