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第百十八回

それでも余り遅くなると、お目玉を食らいそうで、勢一つぁんは直助との別れぎわには小走りしていた。

 夕食は即席麺を惣菜がわりに、炊飯ジャーの残った飯を食う。直助には、ちっとも栄養が取れていない…と分かっているが、余裕がない暮らし向きでは致し方なし、と諦めている。昨日、敏江さんにもらった大根のお新香もあるから、まあこれで今夜は済まそうと自堕落だが、そう思った。食材の買い出しなどは、ここ数日やっていなかった。ともかく夕飯を済ませばいいか…と、内心で直助は思い、で、そうした。勢一つぁんや商店街の連中に茶化されはしたが、実際のところ、直助は夜が来るのが怖かった。そんな自分が情けないとは思えるのだが、こればっかりは、どうしようもない。父の直吉も、この点は同じで、余り肝っ玉が太いとは言えなかったし、やはり、その遺伝子は引き継いだようだ。しかし、つらつら顧みれば、結局のところ、溝上早智子と名乗る人物が、なぜ自分の店へ出没したのか…という根本的な問題に対する想いに遡るのだ。早智子に遭遇した以前、直助は彼女と接触した過去はない。いや、少なからず、なかった筈だ…と直助は思っていた。だが、今日は少し心が安らいでいた。戸開山とかいやまの山埋で早智子の墓へ線香や花を手向けられたことによるものだった。そうはいっても、早智子の霊に問わねばならない最も重要な疑問は、まだ心の中にわだかまり、くすぶっていた。自分以外でもよかった筈だが…という疑問である。

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