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第百十二回

 幸い天候は朝からの快晴が持続し、よかった。勢一つぁんは店へ飛び込んできた早朝から、どこぞに打ちいらんばかりの気迫で、意気軒昂だった。ある意味、小学生に戻った大人が、はしゃいでいるように見えなくもなかった。後部には簡易なリュックを背負い、直助の身支度が出来るのを今か今かと待っている。直助にはそんな気負いは寸分もなく、長閑に出かけて戻ろうと考えている程度だ。どちらがどちらなのか分からなかった。

 行程としては戸開山とかいやまふもとまでが二十分、そこから登りだして七合目辺りにある山埋さんまいまでは三十分ぐらいかかると直助は踏んでいた。荒れ果てた山の樹林群が広がる。近年は林業が衰退し、多くの山は管理されないまま放置されているようだ。幼い頃には確かにあったと思われる山埋へ向かう登山道も熊笹の繁るに任せて、その方向すらも見定められない。

 二人はようやくのことで五合目付近まで辿りついた。フゥ~と、どちらからともなく地にドッペリと腰を下ろした。湿気のないフワリとした感触…無尽蔵に敷きつめられた落ち葉絨毯のクッションである。直助がふと腕を見ると、予想を大幅にオーバーし、すでに九時近くになっている。こんな筈やなかった…と少し動揺する直助だった。七時半以前に麓を発したのだから、一時間半は優に登っていたことになる。

 前に六体地蔵尊が現れたのは、それからふたたび歩きだし、谷伝いの道を登り降りしたあと四十分も経った頃だった。

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