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第百十一回

ただ、第三者が聞いていたなら、それはそれで大雑把で、二人は仲が余りよくないのか…という風にもとれる会話なのだ。直助が例の店の椅子に座り筆を握る機会は、この一件のお蔭で、しばらく頓挫していた。上手くしたもので、書き溜めた分が完成直後だったからよかったものの、いつもは次回作の構想を練っている頃合いなのに、それさえも等閑なおざりになっていた。この怪談の本当の姿が見えない限り、筆の方は集中出来ないだろうと思えた。とにかく、この問題を解決することが直助にとって急務だった。

 勢一つぁんを伴って、直助が戸開山とかいやまへ出かけたのは、その二日後である。薄気味悪い山埋さんまいということで、朝早く出て陽が高いうちに戻ろうと手筈だけは二人でつけた。敏江さんが握ってくれた昼飯用の握り飯と美味い漬物が実は楽しみな勢一つぁんなのだが、いずれにしろ、一人よりは心細くないことは直助にとって有難かった。

 戸開山は標高二百メートル程度だから、どこにでもある小山である。直助は幼い頃に二度ばかり登ったことがあった。記憶を辿れば、山埋のあった辺りの地形が脳裡に甦った。ただ、その記憶は四十年以上前の残像である。今はその山埋だって荒廃して鬱蒼と繁茂する蔦などで覆われているかも知れないのだ。そう思うと、直助は心が滅入った。

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