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第百三回

 水割りを数杯、傾けると、次第に身体の芯が火照り、睡魔に襲われた。酔いも手伝って気分が大ざっぱになり、思考の脈絡も乱れてきた。心地よく布団を敷いて、先ほど書いた紙を枕元の中心に置く。そして、少し遠避けて、これでよし! と、ひとり合点した。しばらくじっと見て、やはり元の位置がいい…と思え、紙を戻して布団に潜り込む。瞬く間に直助は眠りへといざなわれていった。

 目覚めたのは七時頃だった。昨夜は勢一つぁんも親戚の不幸があり一緒に寝てくれなかったが、それでも酒のお蔭で恐怖心からは解き放たれたし、熟睡も出来た。そんな訳で、今朝はすこぶる気分が爽快なのだ。ふと枕元を見ると、置いた筈の紙が消えていた。溝上早智子は、やはり現れ、読んでくれたのか…。直助は怖さより安堵の心が溢れて、素直に胸を撫で下ろした。冷静に考えれば、紙が消えたという事実は、おどろおどろしい事態なのだ。しかし、二度目というある意味での馴れ、ということもあった。

 よく考えてみると、ここ数日のことが直助の周囲ではあたかも数年の単位で流れていた。その感覚は直助だけのものだが、何も起きなかった今までが異常だったのかも知れない…とも思える。それらを変貌させたのが今回の怪奇現象なのだが、怠慢の日々に比べると、わずか数日は神経がたかぶり研ぎ澄まされている。若い頃に直助が生活していた感覚が甦った。

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