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第百二回

━ と、なれば、文面を考えないといけない。率直に疑問を書くか…。どうして自分にき纏うのかを… ━

 そう考えて、執筆中の原稿は、ひとまずやめた。

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 前略

  事情は分かりませんが、突然のことで、私にどのようなお尋ねがあるのか…と思案しております。先日の置かれた手紙を拝読いたし、直接、私に手渡されればよかったものを、と不思議に思えております。                                                                 

                                草々                               

                                    坪倉直助

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 直助は書き終えて、ふぅ~っと溜息をひとつ吐いた。

 夕闇はひしひしと音もなくやってきた。いつも以上に時が早く過ぎたように思える。書いた紙を枕元に置き、そのまま寝たとして、果して読んでくれるだろうか…その保証はどこにもない。だが、これが唯一の気持を伝える手段ならば、それ以外、考える余地はなかった。直助は残りものの野菜炒めに箸を進めながら、そう巡っていた。妙なことに、今日はあれほど神経を尖らせていた無言電話はないし、天井裏から聞こえた妙な音も鳴りを潜めている。まだ油断は出来ないまでも、取り敢えずは一応、平静が保たれていた。敏江さんが差し入れてくれた残りものの芋の煮っころがしが絶妙に美味い。めったと飲まない、これももらいもののウィスキーのボトルを引き出しから取り出して飲む。瓶自体にほこり溜まっている。いつ頃、誰から貰ったのか、そんな記憶もない代物しろものだった。

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