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第百回

「なんやら朝から妙な具合になってしもたな。…こんなことがあんのやなあ…」

 ふたたび、勢一つぁんは自分を勇気づけるつもりなのか、快活に言う。

「気色悪いことになってきよったけど、どうしようもないしなあ。だいいち、心当りがないさかい…なんぞに祟られたんかなあ」

 ようやく、重い口を直助が開く。

「その女な、恐らく、もうこの世にはいんのと違うか。そやなかったら、今のあり得ん紙は合点がいかんし、妙やで…」

「…そやわな。二人以外は誰もいんのやさかい、おかしいわな」

「そういうこっちゃ…」

 二人は、また沈黙してしまった。二人の間では悠久の時がゆったりと流れているのに、直助と早智子の空間だけが、なぜか二十年以上も過去をさ迷っているかのようだ。こんな事実が科学万能の時代にあってはならないし、また起こる筈もない…と直助には分かっていた。だが現実に、こうして置かれた紙は存在しているのだし、妙な幽体らしきモノにも遭遇していた。これらの事からすれば、科学的根拠のない霊体の存在を認めざるを得なくなる。和田倉商事で起きていることだって、科学的には有り得ないのだ。ところが直助には、こうした珍奇で怖ろしい現象を止めるすべが見出せなかった。

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