鮭のアーリオパスタ
僕は桐子のようにたくさんのレシピを知らない
桐子のために憶えた料理しか知らない
深鍋に水をたっぷり張る
塩を大匙一杯いれて火にかける
冷凍庫から鮭の切身を出してレンジで解凍する
それから玉葱と人参をだして
まず人参を適当に切る
玉葱も食感が残るように少し分厚く切る
すべてを俎板の端にそれぞれにまとめて
大根を出す
適当に5cmに切って残りはまた冷蔵庫に
厚目の千切りにして
常備食の酢浸けの玉葱をひとつかみ
ボウルにいれて
京菜を切って混ぜる
そして醤油をかけたら
サラダが出来る
サラダ皿によそっていると
鮭の解凍が終わった
フライパンを取り出してオリーブオイルをいれる
温まったらにんにくをペーストにして塩漬けにしたものを入れて
焦げないようににんにくを丁寧に炒める
香りがオリーブオイルに移ったら
鮭を入れてしばし焼く
沸騰してきた深鍋にパスタをいれて
くっつかないように15秒位かきまぜて
鮭が焦げないようにひっくり返す
鮭の身が白くなって大体焼けたら
俎板に鮭だけ取り出して
荒く身と骨を分ける
そしてフライパンに残った
鮭の油のでたオリーブオイルとにんにくの中に人参と玉葱を一気にいれる
全体がしんなりしたら火を止めて
パスタの茹で加減をチェックする
桐子は少し硬めが好きなのだ
パスタは丁度よい具合で
二重構造で重なっている笊を持ち上げてよく汁を切ると
徐にフライパンに移す
フライパンにまた火をかけて
パスタと玉葱人参を混ぜ合わせて
最後に鮭の身をいれて
塩と粗びきのブラックペッパーで味を整える
適度に絡めたら
料理は終わりを迎える
皿にパスタを移して
食卓に運ぶ
安いキャンティをグラスに注いで
桐子を呼ぶ
呼んでも来ないのは解っているから
リビングに迎えに行く
そしてようやく
料理が終わり
食事が始まる