第六話 逢えない日々
理恵が陸上部で活動するようになって半月。理恵が俺の顔をみて泣き出すようになってしまった。一ヶ月も経つと部活にすら来なくなった。こんな事初めてで、気が狂いそうだ。理恵がいない。それだけで俺は立っていることすら出来ない。もう、走れない。
「理恵・・・理恵・・・。」
もう二ヶ月間も秀二君の会っていない。きっと学校も転校させられる。
私は二ヶ月前完全に外出を禁止された。彼がいることがばれてしまったのだ。
「会いたいよ・・・。」
この二ヶ月泣いてばかりいた。
たった二ヶ月。もう二ヶ月。私の心は今にも壊れそうだった。
いつもと変わらない部屋もなぜだかとても広く感じる。ベットも机も等身大の熊のぬいぐるみもいつもと同じ。ただ違うのは秀二君に会えない。それだけの事。でも、本当に何かがガランと百八十度変わってしまったかのように寂しい。
「理恵・・・。」
泣いていると部屋のドアが開いた。入ってきたのは父。
「お父さん!ここからだして・・・彼に、彼に合わせてください。」
私はお父さんの前で膝き俯いて言った。きっとその声はとても小さくて、聴こえなかったのかもしれない。お父さんは暫く黙って、口を開いた。
「いかん。挨拶にも来ないような可笑しな奴との付き合いは認めん。これはお前の為だ。」
「なによ。私の為とかいって本当はただの自己満足じゃない。お姉ちゃんはいいのになんで私は駄目なの?私だって・・・好きな人と一緒にいたいんだよ!」
呼び鈴が鳴ったのはちょうどその時だった。