声
「行ってくるね!」
と彼女は言い、僕の頭を撫でた。
「待って、ああ…」
僕は全身で必死に彼女に訴えた。
ただその声は彼女には届かなかった…。
彼女が出て行ってから10分も経たない内に、部屋の温度は急上昇した。
暑い…
身体がだるい…
僕は残っていた水を口に含んだ。
そして彼女を待った。
どれだけ待っても彼女は帰って来なかった…
どれくらいの月日が過ぎただろう…
僕には分からなかった…
その時、近くで物音が聞こえた。
彼女が帰って来た。
僕は嬉しさのあまり、声を挙げようとした。だが声は出なかった…
僕の前に立っていたのは彼女ではなかった。
「誰…?」
僕は訳も分からないまま、連れさられた。
ここはどこだろう?
彼女はいるのだろうか…?