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Sinners//  作者: 柳仁楓音
ヒトツキめ

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我慢を重ねてー小鳥遊昇平回想ー前編

 クラス内のカーストは、自己紹介で決まる。

「しょうへいって言います!しょう()()じゃないので!間違えないよーに!」

中学時代、親しい友達ができなかった僕は必死になってスマホで『自己紹介で得をする!トモダチ入門』を読み込んだ。ちゃらけると親しみやすい、名前の言いかえを言ってみるとあだ名で呼んでくれる…本で学んだ要素を頑張って取り込んで挑んだ本番は自分からの目線だと好感触だった。

 「やっほ~しょうぺいちゃんっ」

自己紹介でひときわ目立っていた男子がほかの男子二人をつれて僕の前にきた。

「しょうぺいちゃんって面白いねぇ、俺ら今日から友達なっ!」

そう言って顔のいい男子は僕の背中をどんと叩いた。トモダチ…。俺は久しぶりのその言葉の響きに胸が温かくなった。「…うん!もちろんっ!」ここから僕は楽しい青春を謳歌するのだろう、そう思っていた。

 「しょうぺいちゃん、その焼きそばパン、譲ってくんね?」

3週間ほどの時が過ぎたある日、友達は僕の手に持った焼きそばパンを指さし、片目をつむってお願いしてきた。

「あ、…うん!もちろんいいよ!」初めてものを欲しがられて少し困惑していたが、きっと買えなかったんだろうと快く手渡した。

 その日を境に、友達からものをせびられることが多くなっていった。

「ごめんっ、水なくなっちゃって…そのペットボトルくれる?」「う、うん。もちろん」

「うおっ、その定規かっけぇな、くれくれっ!」「も、もちろん…」

それ、激動戦隊ウゴクンジャーの限定品なのにな…、けれどそんなことは口にしない。いや、できないのだ。空気がいっている。

「しょうぺいちゃん、ピアス似合うと思うんだよねっ。開けてみてよ!」友達は自分の耳につけているピアスに手を当てて笑った。

「えっ、でも…校則が・・・」

「……ん?」

「あ…、は、ハハッ、そんなの気にしなくていいよなっ」友達は笑っているはずなのに、とても冷たい空気になった。

 帰宅後、すぐに洗面台に走った。そしてポケットからゆっくりと針を取り出した。……。「いてっ」耳に針を通すと激痛が走った。友達がくれた針は安全ピンのようなものをくれて、「みんなこれで開けている」と言っていた。みんな、こんな痛い思いしてピアス開けているんだなと。そんなことしか考えなかった。

「おお、いいねいいねぇ」「似合ってるよ」「イケメンっ!」

ピアスをつけて登校した朝は、友達3人が僕のことをべたべたにほめた。

「ん~でも、もっと開けてもいいかもね。つぎは軟骨んとことか?」友達は自分の耳の上の方をとんとんっと指で叩いた。「うえっ、でもこれ結構痛かったし…」

「もちろん、いいよな?」

…っ。友達は笑っていた。けれど、目は冷ややかに光っている。「う、うん」僕はうなづくことしかできなかった。

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