亜希のケツイ
3日後、許しの牢獄から最初に出るのは、昇平で決定した。
その翌日、小鳥遊を送り届けるセレモニー?もみんなで集まってやった。
「この度、許しの牢獄から送りだす最初の方は小鳥遊昇平さんです。あなたは許されました。これからは、まっとうな人として、清く正しく、生涯を過ごしてください。」
「はいっ!!」
昇平は正面のエントランスのようなところから外に向かって歩き出す。こちらに手を振りながら去っていく昇平の姿は、閉じていく扉によって遮られ、見えなくなった。
『小鳥遊さんが釈放され、アルファベットが減少します。』
アルファベットのBが消えて、次はCになった人が出られるのだという。そのあともこんな風に同じことを繰り返して、最後のZを決める。よし、覚えたぞ。
「あっ、亜希さん!いました!」
前から三好が俺に向かって指をさす。その隣には、黒住と湯川がいる
「最近食堂でも顔を見かけないから、心配した。何かあったのか?」「わ、わたしが話しかけたから…?こんな陰気な人間とはなしちゃったから、陰気がうつったとか…?」
黒住と湯川も俺に話しかけてくる。
「まぁ、最近ちょっと考え事してた。」俺がちょっと照れたように話すと
「私が話しかけた時も無視してきましたもんね。さぞかし重要なこと、そうですね、きっと生死にかかわることを考えていたんでしょう。彼は。」
三好に話しかけられていたのか俺は。気づかなかった。
「で、なにを考えてたんだ?」黒住の質問に俺は少し息を吸って答える。
「俺、牢獄にいようと思う。」
「!?」「どういうことですかっ?」
黒住は声も出さずに驚き、三好は目を吊り上げる。
「わっ、私が前に外に出たって幸せじゃないって決めつけちゃったからでしょうかっ…、わた、わたしのせいでっ…」
「湯川、何の話だ?」
黒住が目を鋭く光らせ湯川に訊く。湯川はヒィッと短い悲鳴を出したが、
「わっ、わたしたち何かしらの方法で人を、殺害してしまっているんですよね…?それなのに外に出てたって、元の生活になんて、戻れるはずがない、って、わたしなんかが言ったって何にも思わないだろうなって亜希さんに言ったんですけど、こんな根暗の話を、きっと亜希さんは信じて…」
震える指で俺を指して、俺に話した内容を黒住に伝えた。
__なんか変なこと言ったか俺?俺は頭を掻きながら、きっかけを話そうと思った。
「まぁ、湯川の話から俺は考え込んでたんだけどさ、小鳥遊がさ、『出所したら、俺は人を助けたい』って意気込んでたんだよ。すっげぇいいやつだよな。でさ、どうせ俺が外にでたって、元の生活に戻るにしろ、誰かを助けるどころか、自分の面倒だってろくに見れないだろうなぁって思ったんだよ。身寄りだってないし。それだったら、また会いたい人がいるヤツとか、人のために頑張りたいヤツに出所を譲ってやりたいなって思うんだよな。あとここ、飯もたくさん食べれるしっ!」
俺は、人殺しのことはいったん考えるのをやめにした。だって、みんな前を向いてるじゃん。外に出るために、懸命に。そもそも俺はたらたら思いつめるやつは嫌いだからな。俺がなってどうするってんだ。
黒住はあごにてをあてて、何かを考えながら口を開く。
「まぁ、お前にはお前なりの考えがあるんだな。ただ、湯川の話にも納得できる点はある。だいいちに…」
「まったまったっ!黒住!スイサツ?とかは今はもうよくないか?まだ1回目が終わったばっかりだろうよ。」
「でもだな…。」
「最後になるまでは、まだまだ時間があるし、どうせ俺が最後残るわけだしっ!お前らは何も考えなくたって外には出られるぜっ!ムダに脳みそ使うのやめて、ゆっくり楽しく過ごしていこうぜ!」
むむ…と唸る黒住の肩に俺は腕を絡ませてにししっと笑う。
「……、なんか明るくなりましたかあの人。性格が急変しすぎて気持ち悪いんですけど。」
「幽霊が憑依してしまったのでしょうかっ…、私の暗いオーラによりついてきた幽霊がっ、亜希さんに…、ああ、なんて悪いことを…。」
亜希は真治といた時以来の笑みをこぼしていた。
現在のアルファベット
C湯川 Ⅾ亜希 E黒住 F三好 G高橋 H瑞野 I望月 J豊島 K神野 L徳永 M桃ノ木 N二之宮 O鹿野 P久松




