黒住のギネン
「まず一つ目、俺たちの目標である出所が、勝利ではなく敗北ってところだ。これはルール説明の時から疑問に思っていたが、初戦を見ると、ますます違和感が浮き出てくる。」
「確かにちょっと不思議でしたね。勝ったほうが出られるっていうほうがわかりやすいですし、私もちょっと戸惑っちゃいました。」
三好が黒住にわかります、わかりますっと顔を上下に振って見せる。
「次に二つ目、カンシュのアナウンスだ。小鳥遊が三好に挑戦を宣言したあと、間があった。ほかの会話はすらすらと繋がっていたのに、相当間があった。そして結果を報告したカンシュが序盤の人物とは違ったのもあるな。」
「そうですよね、不思議ですっ!」
俺はしばらく黒住の話をこっそりと聞いていたが、途中からは飯に全集中した。まぁ、勝ちが負けっていうのはたしかによくわかんねぇけど、その他は…そんな気にすることか?つーか気にしてどうすんだよな。スイサツ?なんかしなくたって、必ず出られるんだからな。
そんなこんなで俺のプレートの上は空っぽになっていた。まだ少し腹に余裕はあるが…。ショクジって増やせたりするんかな。
「ここまでで俺の違和感と推察を述べたが、今はどう転がるかわからない状況にいる。一応、俺らは手を取り合っておこう。」
黒住は俺と三好と…
「うわっ!!」俺は横に立ってた女子に驚いて大きな声を出した。
「なんなんですかっ!うるさいですよっ!」「なにを驚いている。」
三好と黒住はなんだこいつ、とでもいわんばかりの目で俺を睨む。
「だっ、だってよ、こいつ、さっきまでいなかっただろっ!」
「い、いましたよぉ最初からっ、一緒に来たじゃないですかっ」
う、うーん。いたような、いなかったような…。
「まぁいい、三好、湯川、それと…一応、亜希。よろしく頼むぞ」
「もちろんですっ!黒住様っ!」「わ、わたしなんかでよければ…」「いちおーってなんだよいちおーって」
黒住が食堂を出ていき、三好はそれについていくように出て行った。
俺はまだ残っていたさっきの女子に話しかけた。
「おい、その…悪かったな。さっきは。俺、お前の名前知らねぇから、教えてほしい。あ、俺は窪内亜希ってんだ。」
「食事中に言いましたけどね…。私は湯川佳音と申します。でも、多分すぐ忘れちゃうと思うので…わたしなんか」
なっ、なんか、暗いな。
「と、いいますか…あなたたちは本当に外に出たいのですか?」
「?そうなんじゃね?」俺は勝手に巻き込まれてるだけだからな。
「そうなんですね…でも、外に出たら本当に元の生活に戻れる、とはわたしは思いませんよ…人を殺してしまったわたしたちに。罪人の人生に、安寧が訪れるわけがないじゃないですか…」
湯川がおそるおそる嘆く言葉で、時間を止めたような気分になった
そうじゃん。なんでそんなことわすれちまってたんだよ。あの日がよみがえってくる。そう、そうだよ、いくらここがユルシのロウゴクだからって、あの日がなくなってくれるわけじゃない、真治だって_
俺はその場に立ち尽くした。急に黙りこんだ俺に驚いたのか「ひっ、失礼しますっ」と速足で湯川は食堂の外に出て行った。___
現在のアルファベット
B小鳥遊 C湯川 Ⅾ亜希 E黒住 F三好 G高橋 H瑞野 I望月 J豊島 K神野 L徳永 M桃ノ木 N二之宮 O鹿野 P久松




