第二話∶音楽室の幽霊と転校生の警告
翌日、学校では音楽室のピアノが勝手に鳴り出すという新たな噂が広まっていた。
「やっぱり何かいるんだ!」陽太は興奮気味に楓に訴える。「音楽室、調べに行こうぜ!」
「くだらない。ただの老朽化でしょう」楓は全く取り合わない。しかし、紗英はスマホ片手に乗り気だ。「もしかして、感動的な幽霊ロマンスが隠されてるかも!」
3人が音楽室に忍び込むと、埃を被った古いピアノが、誰も触っていないのにポツリ…ポツリ…と音を立て始めた。
「ひえええ!」陽太は紗英にしがみつく。紗英も顔が引きつっている。楓は懐中電灯でピアノの内部を照らす。「ただの共鳴現象よ。どこかの振動が伝わって…」
その時、ピアノの鍵盤がひとりでに動き出し、不気味なメロディーを奏で始めた。
「うわああああ!」陽太と紗英は悲鳴を上げて逃げ出す。楓もさすがに顔面蒼白になったが、科学的な理由を探そうと必死だった。
翌日、楓が廊下を歩いていると、霧子がそっと近づいてきた。「…音楽室の調べ物は、深入りしない方がいい…過去の悲しい旋律は、触れる者を狂わせる…」
楓は訝しげに霧子を見つめた。「あなたは一体…?」
霧子はフードの下で微笑んだような気がした。「…ただの、少しだけこの学校の秘密を知っている者…」
その日の午後、田中先生が青い顔で職員室に駆け込んできた。「教頭先生!大変です!理科室の人体模型が、昨日の夜、廊下を歩いていたという目撃情報が…!」
(第二話完)