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第二話 まさかの出会い

僕の街で持ち切りの話題は180度ガラリと変わってしまった。

<彩村出動!土地神を僅か4分21秒で鎮圧、祓うことに成功>


「おい、ニュース見たかよ!彩村さんが来たって!」

「クッソ〜!!彩村さんだって分かってたら、避難なんかせずにサイン貰いたかったぜ!!」


現代最強と言われる彩村四季が、僕らの街の土地神を祓ったというのは、とんでもない騒ぎとなった。そして、その騒ぎは更に盛り上がりを見せることになる……。


「はーい、皆さん、着席。とんでもゲストが来てますよー」


先生が教室に入ってきて、僕たちに静かになるように促した。


「いやー、私もまだ驚いてるんだけどね……どうやら、この近くの地下シェルターの避難状況と、安否確認が、不手際で間違えて政府に報告しちゃったみたいですのね。それで、その、えー……なんと、直接来て頂いちゃいました」

「………彩村でぇ〜〜ス…」

「(彩村さん!真面目に自己紹介してください!!)……コホン、土地神対抗軍中佐、氷織冱瑠(ひおり いる)です。皆さん、調査へのご協力に感謝致します」


「「「「えぇ〜〜〜!??」」」」



クラス内は総立ちだった。無論、僕も驚いて、立ち上がって、アタフタとしていた。


「彩村だ……本物の彩村だ!!」

「冱瑠ちゃんも本物だぞ!!可愛すぎんだろ…!!」

「お〜い、皆ー。席つけー」


先生が手を叩いて僕たちをなだめた。


「……えー、皆さんが避難したシェルターはタツカワ市東部の第2シェルターで間違いないですね?」

「……あっ、はい、そうです。僕たち1組の生徒だけでなく、この学校の生徒は皆、東部の第2シェルターに避難していました」


しばらく沈黙があったので、僕が答えた。すると氷織さんから話が続いた。


「皆ごめんね、あそこの地下シェルターの人数計測で誤りがあったみたいで、至急数え直しをするように言われてしまって…」

「クソ面倒だよ、全く。つーか見るからにここのガキンチョ共、人数足りてるじゃんかよ」

「彩村さん!……まぁ、そういうことです。まずこのクラスの点呼を取りますね」


「あっ、あの!!」


つい僕は我慢出来ずに、点呼が始まる前に声を上げてしまった。


「あっ、彩村さんと、氷織さんの…その……サインが、欲しいです…!!」

「……俺も!」

「俺も俺も!!」


一瞬の静寂の後に、クラスの皆が僕に続いて声を上げた。


「あー、コラコラ、無茶言うなー。お二方は忙しくてここに……」

「いえいえ先生、我々の不手際が招いた事ですから、後で各クラスに数枚ずつで良いなら書きますよ」

「「「「うぉぉ〜〜!!」」」」


氷織さんの口からそう言われ、完全にクラス中のボルテージがMAXに到達した。


「お、おいコラガキ共、俺は書くなんて言って……」

「彩村さん?誰の報告ミスだと思ってるんです???(ニコォ…)」


恐らく僕だけが見逃さなかった、あの氷織さんの冱て付くような笑顔は、少し背筋に寒気が走ったような気がした。


──────


「剣、お手柄だぜ〜!!お前がよくぞ言い出してくれた!!」

「そ、そんな……でも、ありがとう」


約束通り、僕らの学校の各クラスに彩村さんと氷織さんからサイン色紙が贈られた。


「つーかさつーかさ!氷織冱瑠!やっぱ超美人だったよなぁ!!」

「それな!!アレで俺らの2つ上、しかも軍の大佐ってんだから、もー超絶可愛いとかっこいいの二刀流だぜ!」


そう、僕たちは彩村四季にばかり目が行っていたが、氷織冱瑠という人も、物凄い実力者だ。

氷織冱瑠、彼女は由緒ある氷織家の次女で、代々受け継がれてきた氷の属性の能力を持っている。この氷というのがとても希少で、水の属性の突然変異から生まれたものだ。さらに氷織家の家系は、その突然変異の氷属性を唯一引き継ぐことに成功した、特別な遺伝子を持っているのだとか。


「冱瑠ちゃんは歴代の氷織家の能力者の中でも、ずば抜けて戦闘のセンスがあって、氷織の能力者で歴代最も能力を使いこなせてるらしいぜ…」

「まさに天才だよなぁ……。階級も「上級3位」、しかもまだ19歳、これからまだまだ成長するだろうし、なんてったって超可愛いしな!」


あの彩村四季の四属ノ法でさえ、水から氷に変換するのは本人曰く「出来ない」らしい。以前のテレビインタビューでの会話でそう言っていたはずだ。


「そいや剣、お前彩村さん達と喋ったって聞いたぜ?」

「おいおい、マジかよ!?どんなこと喋ったんだ!?」


僕は、もうバレてるのか、と内心少し動揺した。


「い、いや…あまり人に言わないように言われてるから………」

「えぇ〜!?なんだよ、もっと気になるじゃんかよぉ!!」

「いや、本当に言えないというか……!」


そう、僕があの人たちと話したことは、言いふらしていいものじゃない気がした。

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