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春風戦争 第2部  作者: ゆうはん
~邂逅~

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1章 9話 3節

ティープのFGルシュヴァンの動きに

現場には緊張感が走った。

ガルはレーダーの照準をルシュヴァンに合わせる。


「来るか!

ティープ、お前とは一度、FGで決着をつけたいと思っていた!」


ガルは射撃の名手であり、その腕はFGだとしても落ちる事はない。

射撃に関しては、ティープよりも上だという評価もある。

だが、ガルはあえてロンアイソードを構える。

まがりなりにも友軍であるティープに対して、

銃の使用は躊躇われたからだった。

ティープもガルの意を汲んで、ロンアイソードを鞘から抜く。


「お前が本気で、あの力を利用するってんなら、

俺は本気でお前を止める!

わからないのか!?

あの力に人は魅了される。

彼女らを利用しようという奴らは、どんどん沸いてくる。

あれは人の手で御せるものじゃない!

その位、お前ならわかるはずだ!」


「出来るさ!

私なら出来る!

例え、お前やゲイリ、皇帝であるウルスに出来なくとも

私なら出来る!」


「ちっ!

昔から、お前のその自信はどこから来るんだよ!?」


「自信!?

貴様には判るまい。

ウルス、ゲイリ、ティープといった輝く恒星の陰で

輝くことさえも出来ず、燻り続けた日々を!

自信、そうさあったさ。

この世界を変えるほどの力があると、

俺は自分を信じていた!

その自信を木っ端微塵に打ち砕いてくれたのが

お前達だ!

だがな!

絶望の淵で気付いた事もある!

神は、私に試練を与えているのだと!

この挫折も乗り越えるべき壁なのだと!

現に、失意の中で私はワルクワ王国拾われた!

そして今、神々の力と思えるような奇跡が

目の前にある!

世界は私を誘っている!

ティープ!お前を超えるべきだと!

ゲイリを超えるべきだと!

ウルスを超えるべきだとなっ!!!」


「コンプレックスの塊かよ!

ウルスもゲイリも、お前を評価していたぜ!

前にゲイリは言ったことがある。

英雄と呼ばれる者たちで、

当時代で全ての面でNo.1だったような英雄は

悉く最後は挫折しているそうだ!

世界を変えるような英雄は、

何か、どこか欠点があり、仲間がそれを補うことで大成する。

英雄になるのは、全てがNo.1の化物じゃない

一人よがりの英雄は、滅亡するしかないんだとよ!

しかし、ガルは、No.2だからこそ恐ろしいんだとよ!

ガル!

お前は滅亡への道を歩みたいのかっ!?」


「全てを超越して滅亡するのであれば、

男として本懐だ!!

頂点を目指さず生きて、何が男か!!」


「このわからずやがーーー!!!」


ルシュヴァンがエクセルハーツの懐に飛び込む!

ガシィィン!

とロンアイソードとロンアイソードが打ちつけあい、

火花を散らして、再度2機は距離を取った。

近距離で、二人は向き合う。

間髪いれずにルシュヴァンが再び切りかかるも、

エクセルハーツは切り筋を受け流した。

それらの動きは洗練されており、

まるでFG剣術のプロフェッショナル同士の戦いような印象を

見る者に与える。

二人は一呼吸置くと、再び剣を構え直す。

だが、二人の意識は別のところにいっていた。

ほとんど同時に二人が叫ぶ!


「タク!今のうちだ!

ルカゼを掻っ攫え!!」


「ミラージョ!ルパンダ!

ルカゼさまを保護せよ!

彼女は、ワルクワを救う!」


「!!!!」


ティープとガルはお互いを見た。

考えていることが同じだったからである。

二人の戦いに魅入っていたタクは、慌ててスノーバロンのレバーを倒す。

同時に、レーダーに二つの光源反応が現われた。


「ワルクワのFG!?」


新たに現われた2機のFGは、1機がタクを牽制するように動きながら

残りの1機がルカゼに近付いていく。


「やらせるかっ!」


タクが最短距離で、真正面から突っ込む。

攻撃を躊躇したミラージョの反応は遅れるが、

ガルと共に行動するFGパイロットである。

判断は早かった。


「ルパンダ!コイツは俺が抑える。

お前は少女を!」


「承知した。

ルカゼさま。我が王国は、あなた様を歓迎いたしますぞ!」


ミラージョとルパンダは、ガルに付けられた親衛隊の一員である。

ルカゼは、先ほどの研究所での騒動で、

ワルクワ軍兵士を殺めていたが、

彼らはそのわだかまりを捨て、ガルの指示に従う。

彼らはガルを好意的に捉えるワルクワ国内でも有数の

ガルを尊敬する信者達だった。

その行動の切り替えの早さに、ルカゼも満足そうである。


「私を受け入れてくれるのであれば、協力する。

まずは、あの生意気な奴に、わからせてやってよ!

お前は無力なんだって!」


「承知した!」


ルカゼがスノーバロンを指さすと、ミラージョは

ワルクワ量産型FGキトの操縦桿を倒す。

ロンアイソードを鞘から抜くと、猛然とスノーバロンへと突進する。

スノーバロンの剣が折れている事は、

把握しており、その行動には余裕があった。

タクも自分の不利さはわかっている。


「こいつ!こっちに武器がないことを知って!!!」


「ちょっとタク!どうするの!?

ルカゼが捕まっちゃう!」


「黙っててハルカ!

舌を噛む。

しっかり捕まってて!!!」


「う・・・・・・うん。」


タクはアクセルを踏み込んだ。

剣のないタクには、それ以外の選択肢はなかったのである。

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