22時間目 あれ…百合は?
なんか最近ホントにグダグダな展開多いです。
ぱっぱと進めたいなぁ。
作品中は十月なのに今五月だもんなぁ。
「すごいね!流石麻衣だよ」
後ろからの気配に気づいたときには既に遅かった。俺は彼女の抱擁をもろに受けてしまう。更に彼女もギターを持っていたため俺のギターとぶつかって、ゴンッと軽い音を立てた。
「だぁ、ウザイ。それにギター壊れるだろ?落ち着きなさい」
はぁーい、と返事をする美羽。しかし一向に離そうとはしない。むしろ強くなっている様な…ホントニワカッテル?
「仲良いね」
右を見ると長谷部がちょっとふて腐れた様にこちらを見ていた。きっと幼馴染みを俺に奪われてしまったと感じているんだろう。
「よく見て、私襲われてるよね。ほらなんか息づかい荒くなってきたし」
俺は背中で一人ヒートアップしている美羽を尻目に咲夜へそう言った。しかし彼女はスタスタと列に並んでしまった。待て委員長!行くな!つれないぜ!俺をこんなのと二人っきりにしないでくれ!
「ねぇ麻衣チューニング教えて?」
ほら美羽は俺を狙って…あれ?チューニング?百合世界に引き込まれるんじゃないの?
「あれ…百合は?」
「へ?百合?なんのこと?」
「あぁ、いや、なんでもないよ」
どうやらアブナイセカイの事を考えていたのは俺だけだったようだ。うん、期待して損し…期待してねぇよ!?いや、そりゃあ自分も男の子であるからして(肉体的には女だが)、美羽は見た目スゲー可愛いし、抱きつかれたらそれなりに嬉しいし、色々考えちゃうけど(最近はもう考える事は無くなったが)…けど!俺も見た目は女の子(に見えたら嬉しいな)の姿だし、俺が原因で“アブナイセカイ”の扉を開いてしまったら責任なんてとれない。俺は他人の人生を壊せる程心は強くない。
さて、逸れた話を戻そう…美羽がなんともいえないものを見る目でこちらを見てるからな。っていうかチューニングなんて教えるも何も無いんじゃ?自分の感覚を信じて音を合わせるしかないと俺はやってて思ったのだが。
「ん~…じゃあ上から一つずつ音を鳴らすから合わせてみて。んで先生に見せに行ってね?」
「お願いします」
ビシッと座ったまま敬礼をする美羽。俺はその様子を微笑まし気に見てから、一音ずつ鳴らしていった。
------俺はつくづく学習しないんだな。そしてそれに気づいたときには既に首を絞めた後だった。
「…ギターの教授をしてほしい」
とまぁこんな感じになっていた。俺はギターの先生が出来るほど上手くはないし知識も無いのだが。だからそんな嬉々とした目で見られてもね司、俺はチューニングしか出来ないんだよ。そして他のクラスメイトさん方もそんな目で見ないでください。
「いや、私はギターの先生が出来るほど上手ではないんだけど」
素直に言った…はずだったんだけど、この言い方は謙遜してる様に聞こえたらしくて
「…それでもいい」
と返されてしまった。っていうかこれは精神的に来るな。もしこれで本当に俺が弾けないと分かったらどんな反応をされるだろうか。
「いやホントにこれしか弾けないからね」
…弾けるって嘘をつくよりいいや!俺の実力を見よ!
〝ドレミ~レド~ドレミレドレ~〟
ハッハッハ!どうだ!これが俺の実力だぁ!今弾ける一番難しい曲だ!…しかし曲と言えるかは疑問だった。
「…え?それチャルメラ?」
そう、察しの通りチャルメラです…恥ずかしながら現時点で俺が弾ける一番難しい曲だった。
「す…すごい…やっぱり弾けるじゃん!」
あれ?おかしいおかしいおかしい。俺は逆にこれしか弾けないんだが…。
「いや逆にこれしか弾けないんだけど…」
「それ教えて!」
「あ、うん。こことこことここを押さえてこう」
五弦三フレット(以後①)、五フレット(以後②)、七フレット(以後③)を順番に押さえて演奏してみせる。
〝①②③~②①~①②③②①②〟
「…成程。よくわかった」
「ならよかった」
こうして俺はギターが弾ける人というガセが出回ることになってしまった。
なんとかしないとな…。
これからもよろしくおねがいします。
音楽やっているのは本当のことです。
出雲でした。